「究極の後出しジャンケン」で東京都知事選(2016年7月14日告示、31日投開票)への立候補を表明したジャーナリスト・鳥越俊太郎氏(76)だがその発言や主張に各方面から「クエスチョンマーク」がつき始めた。
討論会や記者会見でも質問内容とかみ合わない答えをし、選挙公約には「がん検診100%」を掲げた。告示直前の立候補で準備不足が原因と言う見方もあるが、ネットではその特異さや不安定さに疑問を向ける声が上がっている。
「知りません」「関心ありません」連発
鳥越氏の不安定な発言は、7月12日の出馬会見冒頭から見え隠れしていた。「私は昭和15年の生まれです。終戦の時20歳でした」とプロフィールを述べたが、これは誤りで、終戦時に鳥越氏は5歳だった。
会見中にも、東京都の出生率について「他のところよりは高いとは言われてますけれども。それでも当然まだ出生率1.4前後です」と事実誤認を露呈。数分後、話の流れを断ち切って「その前にちょっと待って。その前に、僕ね、東京の出生率1.4とか言ったんだけど、今、事務の方から『東京出生率は1.1なので、全国最低です』というメモが入りました。すいません、私の間違いでした」と謝罪した。
それに加え、会見では「知りません」を連発。東京五輪・パラリンピックの経費は「知りません、正直言って」。都知事選の争点を問われても「僕、残念ながら、自民党からお出になっている増田(寛也)さんと、それから小池(百合子)さんの公約について読んでおりません。関心がなかったから」。韓国人学校のための都有地貸し出し問題についても「ちょっと私、具体的に知りません」と答えられなかった。
不安定な受け答えは、一部メディアに「準備不足」とも報じられた。文芸評論家・斎藤美奈子さんも13日付け東京新聞朝刊の連載「本音のコラム」で、「鳥越氏の会見で判明したのは『この人は都政のことを何も知らない』ということだった」と苦言を呈し、「与党陣営は胸をなでおろしたのではないか」とも書いた。
選挙公約は「がん検診100%」
そんな鳥越氏の不安定な主張は翌13日も続いた。情報番組「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)に出演し、「都議会との向き合い方」をコメンテーターに問われると、なぜか「政治とカネ」の問題を追及していないとメディア批判を始めた。
質問者から「それはわかったんですけども...」と制されると、意表を突かれたように「(都議会との関係は)やってみないと分からないところもある、是々非々で臨む」と答えた。
その後、同日14時から日本記者クラブで開かれた他の3人の立候補予定者との共同記者会見では、冒頭に自身の闘病体験をもとに「がん検診100%」という公約を発表した。2代続けて都知事がカネの問題で任期途中の辞任に追い込まれ、都政が混乱・停滞するなかでの公約としては、なんとも異例だ。
他の立候補予定者らが掲げた公約は、「『困った』を希望に変える東京へ!!」(宇都宮健児・元日弁連会長、69)「東京大改革」(小池百合子・元防衛相、63)「混迷に終止符!」(増田寛也・元総務相、64)などで、これに比べると、具体的ではあるが、特異な印象を与えた。
こうした鳥越氏の発言には、ツイッター上で
「なんでやねんw wってつっこんだ」
「大丈夫かな?」
「気になるレベル」
と疑問を訴える声が相次いでいる。
一時は野党統一候補に票を集中させるため、立候補取り下げも噂された宇都宮氏は、13日の日本記者クラブでの会見で、鳥越氏は明確な政策を示していないと指摘し、「都知事選は政策論争が中心にあるべきで、現段階で出馬の意志は変わらない」と、この時点では出馬の意向を強調した。
(7月13日 19時40分追記 NHKによると、宇都宮氏は、野党4党が支援する鳥越氏の立候補表明を受け、都知事選出馬を取り下げる意向を固めた)