鏡とにらめっこしながら、「綺麗な二重(まぶた)になればいいのに」「かわいく見える涙袋が欲しい」と悩んだ経験はないだろうか。そんな若い女性らの人気を集めているのが、「オロナイン軟膏」を使った「美容法」だ。目の周りにオロナインを塗ると、「周囲の脂肪が燃焼」し、二重まぶたになったり涙袋ができたりするのだというのだが......。
ネット上では、まことしやかに語られていた話で、SNSやまとめサイトにも「整形なしで二重作りに成功した」といった体験談が相次いでいる。しかし本来、オロナインを目の周りに塗る機会は少ない。誤って目に入れてしまう可能性もあり、メーカー側も「正しい使い方を守ってほしい」と注意を呼びかける。
まとめサイトが「意外な裏ワザ」として拡散
「色々試した私はこれだった」「2日で二重跡がついた」――そんな成功談がSNSに続々寄せられている。オロナインを使ってまぶたを二重にしたり、涙袋を作ったりする方法は俗に「瞼やせ」と呼ばれる「美容法」の1つだ。手順は簡単。寝る前にオロナインを目の周りに塗るだけだという。
SNSやブログの投稿を総合すると、オロナインの「発汗作用」によって、まぶたが汗をかいて周囲の脂肪が減り、二重になるらしい。「MERY」や「Spotlight」「NAVERまとめ」といったまとめサイトも「意外にすごい!使えるオロナインの裏技」「ニキビや切り傷だけじゃないオロナインの意外な裏ワザ」といった趣旨のタイトルでこれを取り上げている。
しかし、この「美容法」、少なくとも14年前からネット上で広まっていたようだ。J-CASTニュース編集部で確認したところ、「2ちゃんねる」の美容整形板にあったスレッド「瞼の脂肪、取りたい人、取った人限定」に2002年10月21日、「オロナインで大量に汗出して、アイクリームでケア、指マッサージしてたら 2週間目くらいから朝起きたら目やにがいっぱい出るようになって 急に脂肪が落ちてきた」と書き込まれている。
「若い女性はメーカーに連絡するより、友達と情報交換」
しかし、メーカーの大塚製薬の公式サイトには「目に入らないように注意してください」といった注意書きもある。
同社はこのブームをどう認識しているのだろうか。担当者は16年7月12日、J-CASTニュースの取材に「そうした使い方がネットで流行っているのは認識しています」と明かした一方、「正しい使い方を守ってほしいですが、メーカー側からすると(オロナインには)12の効能効果があることしか申し上げられません」「目の周りにできる吹き出物やにきびに関しては『お使いください』と言えるんですけどね...」と困惑した様子で語った。
ちなみに公式サイトで示された効果のある12症状は、にきび、吹き出物、はたけ、やけど(かるいもの)、ひび、しもやけ、あかぎれ、きず、水虫、たむし、いんきん、しらくも、だ。
「目の周りに塗ると二重や涙袋ができるか」といった利用者の問い合わせについては、「ありません。若い女性は、メーカーに連絡するよりお友達同士の情報交換で済ませている印象です」という。
公式サイトを通じて何らかの注意喚起をする可能性はあるか、と聞いたが「その予定はありません」と答えた。