スタジオジブリのアニメ映画「千と千尋の神隠し」に関するTwitterユーザーの投稿が話題となっている。「千と千尋」の冒頭シーンに疑問を抱き、スタジオジブリへ手紙を送って質問したら、長文の返事が返ってきたというのだ。
ネット上では「すごいこれ、感動する!」「こんな丁寧な返信をくれるなんて凄いなあ」という声が上がっている。
豚になった千尋の両親の意味
2001年7月に公開された「千と千尋の神隠し」の主人公の千尋は、10歳の女の子だ。彼女と両親は引っ越し先へ車で向かう途中、森で迷ってしまい、八百万の神々が住む世界に迷い込んだ。そこで無人の繁華街を見つけ、1軒の飲食店に立ち寄った。カウンターにはおいしそうな食べ物が並んでいる。両親はそれを食べると、ブタの姿に変わってしまった。
2016年7月9日に投稿されたツイッターで、投稿者が、この場面に疑問を抱き、スタジオジブリへ質問状を送っていたことを明かした。その中で、
「千と千尋の神隠し見てて思い出したけど、すごーい昔お父さんの食べてる物と両親が豚になった事が疑問で疑問だったからジブリに手紙送ったら、忘れた頃に返信きた笑」
とし、スタジオジブリから来た手紙2枚と封筒の写真を載せた。いつごろの手紙なのかについての記述はなかった。「お手紙読ませて頂きました。ご質問についてお答えします」と始まる手紙には、(1)千尋のお父さんが食べている不思議な食べ物(2)豚になった千尋のお父さんの2点に対する回答が書かれている。
「不思議な食べ物」については、
「特に明らかにされていないので、異界の不思議な、しかも『すごくおいしそうな』食べ物ということぐらいしか言えません」「迷いこんだ人間を待ち受ける罠と考えてもいいかも知れません」
と説明。
「豚になった千尋のお父さん」については、
「お父さんは料理を食べてすぐ豚になったのではなく、少しずつ本当の豚になっていったのです」
と答えている。
「バブルの時に本当に豚そのものになっていた人が...」
手紙はさらに映画の内容を、
「映画のテーマは、美少女でもなく、類稀な心の持ち主でもない、ヒョロヒョロの手足とぶちゃむくれの表情の、まさに等身大の現代っ子が、危機に直面して生きる力を獲得するというものでした」
「10歳の少女が世の中というべき中へ投げ込まれ、修行し、友愛と献身を学び、智恵を発揮して生還する物語」
と説明し、千尋は「『侵食され、喰らい尽くされる』ことなく、『生きる力を獲得する』」人物だが、両親は「『喰らい尽くされる』側になる」存在として描かれているとしている。「バブルの時に本当に豚そのものになっていた人がいて、今でも自分が豚になっていることに気がつかずに、不景気だ、エサが足りないと言い続けているのと同じだ」と、宮崎駿監督は考えていたとも書かれている。
千尋の両親は「バブルの時に本当に豚そのものになっていた人」の象徴だったのか。スタジオジブリに取材すると、「手紙に書いている内容がすべてです。これ以上はすぐにお答えできない」としている。手紙が送られてきたのは、「映画公開して間もない頃か、DVDが出た後だったと思います」。宮崎駿監督が手紙のことを知っているのか尋ねると、「確認できません」と答えた。
J-CASTニュースはツイッターを通して投稿者に取材を申し込んだが、12日12時の時点で返信は来ていない。
こうした投稿者のツイートに対し、ネット上では
「すごいこれ、感動する!」
「ジブリがますます好きになる手紙。作者の思いをここまで入れる作品って、やっぱり日本ならではの文化や思想なんだろうね」
「こんな丁寧な返信をくれるなんて凄いなあ。だから、世界中で愛されているのかな」
という声が寄せられている。