SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にアップする「自撮り」写真を撮ろうとして命を落とす事故が、世界中で相次いでいる。最近でも南米ペルーで、高さ500メートルの滝の上から韓国人男性が落下、死亡したと2016年7月5日に報じられた。
男性は自撮りに適した場所を探しているうちに、誤って足を踏み外したとみられている。身の危険を冒してまで自撮りに走る心理を、専門家に分析してもらった。
撮りが原因の死者は、1年間で50人に
世界各地で自撮り中に起きた事故の報道は少なくない。
「崖から飛んでいるように見える姿を自撮りしようと飛び上がったら、足を踏み外して転落した」
「自動車の運転中に自撮りをして、交通事故を起こした」
「拳銃を構えた姿を撮ろうとしたが、シャッターとともに誤って引き金も引いてしまった」
「鉄橋によじ登って自撮りしようとしたら、送電線に触れて感電した」
これらの自撮り撮影者は、みな死亡している。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)16年1月14日付記事によると、インドでは自撮り行為が原因とみられる死者数が15年の1年間で27人に達し、全世界では約50人に上ったという。ロシアでも自撮りによる死亡事故は多く、AFP通信は15年7月8日付記事の時点で、「今年(15年)に入ってから数十人が死亡、約100人が負傷している」と報じている。ロシア内務省は「楽しいセルフィー(自撮り)には命を落とす危険がある」とするパンフレットを作り、国をあげて警告しているという。
ツイッターやユーチューブを見ると、自撮り写真・動画が多数公開されており、危険な状況で撮影されているものも少なくなかった。地上数百メートルほどのタワー頂上の、足場がほとんどない突端部分から目下に広がる街の風景とともに自撮りで収めた写真や、砂漠で発生した竜巻をバックに自撮りした1枚も見つけた。
自撮り写真のSNS投稿者の心理について、各種メディアではこれまで「ナルシスト」「自己顕示欲から来るもの」といった学者の分析を紹介してきた。しかし、今日では命を落とすところまでエスカレートしている。心理カウンセラーで「『自撮り投稿』を愛する人の心理」と題するコラムの執筆歴もある青柳雅也氏は、J-CASTヘルスケアの取材に対し「どんどん過激な画像にしないと満足できなくなってしまっている」と指摘した。