福岡市を拠点に活動するHKT48が、「AKB48グループを離脱」するかを「国民投票」するとタイトルに掲げた夏のコンサートツアーが2016年7月11日、福岡サンパレス(福岡市博多区)で始まった。
ステージではメンバーが「離脱派」と「残留派」に分かれ、離脱した場合のメリットとデメリットを主張、約2200人のファンの審判を仰いだ。「離脱派」が勝つと披露する楽曲の一部(セットリスト)がHKT48のオリジナル曲に切り替わる。興業的な趣向とも見る向きが多いが、「国民投票」と銘打っているだけに、事前の予想を覆して英国がEU(欧州連合)からの離脱を決めたように、何が起こるかわからない。
1曲目は「未来を声なき民衆に問う」曲
コンサートのタイトルは、「HKTがAKB48グループを離脱? 国民投票コンサート」。この「国民投票」が何を指すのか、憶測を呼んでいた。コンサート冒頭では、6月18日に新潟市で開票イベントが行われた選抜総選挙で上位に入賞するHKTメンバーが増えたことを背景に、「離脱派」兒玉遥さん(19)が
「今のHKT48には、自分たちの力だけで歩く力がある」
と主張したのに対して、宮脇咲良さん(18)が
「大きな目標のために、守るべきものは守る」
などと応戦。これを受ける形で、指原さんが
「離脱、残留、どちらがいいか、HKT48の未来を今、声なき民衆に問いたいと思う」
と、最初に披露する曲名を紹介した。曲名は「サイレントマジョリティー」。AKB48の公式ライバル「乃木坂46」の妹分にあたる「欅坂(けやきざか)46」のデビュー曲で、ユーチューブに3月に動画が公開されて以降、4か月弱で1968万回も再生されている。
HKTが2014年に行った九州ツアーでは、1曲目に「モーニング娘。」の代表曲「ザ☆ピース!」を披露し、話題になった。この手法を継承した形だ。
客席のファンがうちわの色で「投票」
コンサートの中盤にも、メンバーが
「離脱することになったら、こうやってAKBグループの曲を歌うこともなくなる」(森保まどかさん)
「姉妹グループのままでいたら、どうしてもファンの皆さんがDD(「誰でも大好き」の意。節操なく多くのメンバーやグループを応援するファンのことを指す)になっちゃう。DD化を避けるためにも、ここで離脱してHKT48単推し(HKTだけを応援する)になってもらうのがいい」(渕上舞さん)
などと賛否を主張。ファンに配られたうちわの色で投票してもらったところ、「離脱」を示す赤い面を掲げる人の方が多く「離脱派」が勝利した。その結果、楽曲の一部が「離脱派」向けのHKT48のオリジナル楽曲に切り替わった。この日のコンサートでは、アンコール含め全26曲のうち6曲を「離脱派」バージョンが占めた。「残留派」が勝つと、AKB48グループの曲が披露されるという。
この日のステージは、7月いっぱいでグループを「卒業」することになっている「チームH」キャプテンの穴井千尋さん(20)のラストステージでもあった。卒業後は留学が決まっているといい、多くのメンバーが涙を流しながら別れを惜しんでいた。
HKTの夏のツアーは7月12日にも福岡で行われるのに続いて、8月にかけて山口、愛媛、高知、鳥取、広島、長崎、熊本、宮崎、大分の全10都市で開催される(8月4日に予定されていた熊本公演は地震の影響で延期が決まっている)。