東京都知事選(2016年7月14日公示、31日投開票)は、タレントの石田純一さんがここにきて出馬を取り下げ、ますます混迷の様相を強めている。民進党推薦の候補者も決まらない中、石田さんの出馬断念と、前回の野党系候補者の出馬宣言があり、野党統一候補の擁立はさらに困難となった。
一方の与党側でも保守系候補が分裂する状態になった。こうした状況は選挙戦にどう影響するのか。
候補者4人が会見ラッシュ
参院選から一夜明けた16年7月11日、都知事選にからんで都庁は出馬会見のラッシュとなった。
トップバッターは、前岩手県知事の増田寛也・元総務相(64)。自民党の推薦も受け、公明党も前向きだ。報道陣が詰めかけた都庁の共同記者室で12時半から会見した。「『少子化』『人口減少』という側面から東京一極集中に関する問題提起をしてきたが、私なりの『けじめ』として、そうした問題を都政に関わることで解消する必要があると考えた」と都政への思いを語った。また、舛添要一前知事が打ち出した、韓国人学校増設のため都有地を貸与する方針も「白紙に戻す」とした。
二番手は、過去の都知事選にも立候補した元日弁連会長、宇都宮健児氏(69)だ。同じ場所で行われた14時半からの会見で、「舛添都政だけでなく、過去の都政の無駄遣いについても徹底的に調査する。そうして生まれた財源は都民の福祉に最優先する」と力強く宣言。「公開討論会をしたい」と他の候補に呼びかけるなど、選挙戦を迎える準備は万端のようだった。無所属で政党の推薦はないというが、前回までは野党系の共産と社民の推薦を受けている。
17時からは、すでに出馬を表明している小池百合子氏(63)が同じ場所で会見。都知事報酬の半減などの公約をぶち上げた。小池氏は10日に自民党都連の推薦を撤回しており、むしろ自民党を敵に回す戦略で都知事選に出る。
その後、18時から東京都内のホテルで、石田さんが出馬を取り下げる記者会見を開いた。先週8日の記者会見では「野党統一候補であれば」という条件付きだったものの、出馬への強い意思を見せた石田さん。しかし、11日の会見で一転、「意欲はもちろんあったし、大変生意気な条件も(関係者に)出したが、タイムリミットだった。根回しが足りなかった」と出馬取り下げを正式表明した。
民進、いまだ推薦決まらず
石田さんは、民進党と協議を進めていたことを明らかにしたものの、出馬に至らなかったと説明。同党が推薦を検討しているという元経産官僚の古賀茂明氏については、「リベラルでニュートラルな方だと思う。野党統一候補という形になれば、自分が起こした風のようなものが少しは役に立つのかな」などと語った。
しかし、石田さんの出馬意向の表明と、その後の不出馬により、野党が相乗りできそうな候補の擁立は事実上難しくなった。民進党は7月11日19時現在までに推薦候補者を決められていない。14日の公示日を直前に控え、野党の足並みはさらに崩れる気配を見せている。
一方の増田氏への推薦で「分裂選挙」となった自民党都連だが、この時点で最大野党が候補者を立てられない状況では、情勢は与党有利と見る報道もある。
立候補者予定者は11日19時現在で13人にのぼり、増田氏や小池氏、宇都宮氏を中心に、実務経験者が目立つ。そんな顔ぶれに、ツイッターで
「パッとしませんな」
「都民として一言 華がない」
と揶揄する声が投げかけられるなど、候補者から蓮舫氏や石田氏の名前が消えたことを惜しむ声もある
一方で、候補者にはセラピストのマック赤坂さんや政治団体「在日特権を許さない市民の会」の元会長、桜井誠さんなど個性豊かな面々もいる。ほかにも、立候補をほのめかしたり、噂されたりする著名人もいる。
混迷の都知事選を制して、最後に笑うのは誰か。