メディアによる参院選特番の視聴率争いは、テレビ東京の「TXN選挙SP 池上彰の参院選ライブ」に軍配があがった。
メインキャスターに、ジャーナリストの池上彰氏(63)を迎えたテレ東の選挙特番は、自民党の安倍晋三総裁や民進党の岡田克也代表ら、大物政治家が思わずムッとするような鋭い質問が人気を集め、インターネットでは「池上無双」と評されていた。
わかりやすさと有権者「目線」の質問で、視聴者を引きつける。
ビデオリサーチによると、2016年7月10日に行われた参院選特番の平均視聴率(関東地区)は、テレビ東京の「TXN選挙SP 池上彰の参院選ライブ」が20時からの120分間で11.6%となり、民放トップを獲得した。スポニチアネックスや日刊スポーツ、スポーツ報知などが11日付で報じた。
続いて、日本テレビ系の「参院選2016開票速報」(19時55分から62分間)が10.4%、テレビ朝日系「選挙ステーション」(19時57分から63分間)7.7%、TBS系の「激突選挙スタジアム」第1部(19時56分から94分間)は5.5%、フジテレビ系「FNNみんなの選挙」(19時58分から62分間)は5.4%。選挙特番の全体1位は、池上さんの古巣NHK「参院選2016開票速報」で16.3%(19時55分~21時)だった。
テレ東の選挙特番は、日頃の「池上彰の経済教室」(テレ東)のように、池上氏が選挙報道でもわかりやすさと、各政党の代表や当選者らへの厳しく、また有権者の「目線」で迫る質問が売りだ。2013年の参院選特番「池上彰の参院選ライブ」で民放トップの10.3%を記録。テレ東の選挙特番史上、歴代1位となり、さらに14年の衆院選特番「池上彰の総選挙ライブ」では「報道ステーション」のキャスターだった古舘伊知郎氏(61)の「選挙ステーション2014」と11.6%でトップを分けた。
今回もNHKに負けたとはいえ、それに続く民放3連覇を達成。「池上特番」の強さが際立った。
「いやらしい質問するな池上さん」との声
今回の特番でも、池上彰氏の質問は冴えていた。民進党の岡田克也代表への質問では、「『(自らの地元である)三重の選挙区で敗れたら代表を辞任する』という発言は、「全体で負けても三重さえ勝てば代表を続ける、という意味にも受け取れる」と、党首の発言としていかがなものかと問い詰め、また沖縄県出身で注目のタレント候補者だった今井絵理子氏(自民党公認、比例区)には、米軍基地問題について質問。今井氏から「これから勉強します」という答えを引き出し、「ちょっとびっくりしました」と呆れた様子をみせた。
沖縄選挙区では、現職の沖縄・北方担当大臣である島尻安伊子氏が落選。改めて政府の基地問題への取り組みに県民が厳しい評価を下していることが浮き彫りとなっていた。
ツイッター上などでは、「池上彰の参院選ライブ」の視聴者とみられる人から、
「切り込むねぇ。相変わらず」
「いいぞ池上、もっと言えwww」
「なんだか、民進には優しいなあ。全然突っ込まんぞ」
といった声が寄せられていた。
その半面、
「こんな茶番。『当確』を垂れ流されるよりはいいけど、じゃあ、なんで選挙の前にその質問してくれなかったの?って言いたくなる」
といった声も。
舌鋒の鋭さからだろうか、
「さっきから全体的にトゲのある言い方だし、いやらしい質問するな池上さん。こんな感じの悪い人だったっけ?」
と感じた視聴者もいたようだ。
一方、「池上特番」では候補者のプロフィールをおもしろおかしく紹介するテロップも恒例になっている。今回も、自民党の三原じゅん子議員(51、神奈川県)には「動物愛議員連盟所属 人生の失敗は『結婚』その元夫は芸人コアラ」、藤川政人議員(56、愛知県)には「弾き語りが趣味の元県議 『1人でギターをかき鳴らす』『かぐや姫から福山雅治まで』」、小鑓隆史議員(49、滋賀県)の場合は「元経産官僚 成長戦略を担当 『アベノミクスの設計者』人世で10回財布を落とす」といった具合。どことなく人柄を想像させ、他の番組にはないユニークさがあるようだ。