「教えてください 投票に行かなかった理由」――。第24回参院選(2016年7月10日投開票)の選挙区投票率は、戦後4番目の低水準となる54.7%だった。前回の13年参院選と比べて投票率はやや改善したが、依然として半数近くの有権者が投票に参加していないことになる。
10日放送の参院選特番「選挙ステーション」(テレビ朝日系)では、投票に行かなかった有権者の姿が特集された。番組が投開票の当日に行った街頭インタビューでは、一般の有権者の口から「(選挙よりも)パンケーキの方が大事」「投票は行かなくても、競馬には行きますね」といった言葉が次々と飛び出した。
「休みなのでゆっくりしたい」
まず番組が訪れたのは、東京・原宿の人気パンケーキ店。店内で食事中だった20代女性は、レポーターの質問に「(投票には)行かないです」と即答。その理由を聞かれると、「仕事の休みなので、ちょっとゆっくりしたいなって・・・」と苦笑していた。
このパンケーキ店は、休日には2~3時間待ちにもなる行列店だという。番組では、「(行列に並ぶ)根気はあっても、選挙は面倒なのか...」と皮肉気なナレーションを入れていた。
別の20代女性会社員には、今回の選挙で大きな注目を集めた「憲法改正の発議が可能になる3分の2議席」をめぐる質問が飛んだ。この女性は3分の2の持つ意味について「全くわからないです」と困惑気味に回答。レポーターが説明を加えても、この女性は、
「ちょっと全然わからないです。パンケーキの方が大事かな」
と答え、照れ笑いを浮かべていた。
続いて番組では、都内のプール施設を訪問。子供を連れてプールへ遊びにきていた30代主婦は、レポーターに「選挙よりプール?」と問われると、いかにも楽しげな様子で「そうですね」と断言していた。別の20代女性グループは、「行っても行かなくても同じかな」との回答だった。
「政治にロマンはない 競馬にはロマンがある」
番組では若者だけでなく、「選挙に興味がない」年配の有権者にもインタビューを行っていた。東京・浅草の場外馬券売り場にいた40歳男性は、「投票は行かなくても、競馬には行きますね」と回答。続けて、「政治家はウソつくじゃないですか、駄目ですね。もう興味がない」と話していた。
さらに49歳の男性は、レポーターの質問に「政治にロマンはないね 競馬にはロマンがあるんじゃないかな」と持論を展開。投票に行くかについては「行かないかもしれない。気分次第だね」としていた。
投票に行かない有権者の「赤裸々な言葉」を伝えたこの特集に、ネット上では賛否両論さまざまな意見が巻き起こることになった。ツイッターなどには、
「そりゃ投票率低いわけだ」
「呆れた。日本の未来より大切なパンケーキとは?」
「テレビのインタビューにこんな回答をして恥ずかしいとは思わないんだろうか」
とインタビューの回答者に対する批判が殺到する一方で、
「別に責められることではない」
「別に良くね? 投票しないっていう選択しただけ」
と擁護する意見も数多く見られた。
また、「投票に行かないからって晒しあげるような報道はどうなの」「こういった発言だけ編集して流す報道にモヤっとする」などと、番組の編集内容に疑問を呈する声も目立った。
こうしたインタビューの内容を受け、番組司会の富川悠太アナウンサーは「投票に行かなかった人には、行かなかった人なりの理由があるみたいですけどね」と一言。続けて、「次回からは行っていただきたいと思います」との言葉を送っていた。