「休日にたっぷり寝ても疲れが抜けない」「もうグッタリ、何もする気になれない」......。原因不明の疲れが長期間続くことはないだろうか。ただの疲れとあなどってはいけない。「慢性疲労症候群」(CFS)と呼ばれる恐ろしい病気の心配がある。
ストレスからくる「心の病気」と思われてきたが、脳ではなく腸に問題があることがわかった。米コーネル大学のチームが、腸内細菌の異常に原因があることを突きとめ、微生物学誌「マイクロバイオーム」(電子版)の2016年6月27日号に発表した。
職場でも家庭でも「なまけ病」と侮られて...
慢性疲労症候群は、特にハードな運動や労働をするわけではなく、普通に生活をしているのにヘトヘトに疲れ、休んでも回復しない病気だ。全身に痛みや脱力感があり、微熱や頭痛が続き、集中力や思考力がなくなり、何もする気になれないうつ症状になる。
通常の慢性的な疲労だと、貧血や肝機能の低下、胃腸の不調など特定の原因があるが、慢性疲労症候群の場合は、医師に受診しても通常の検査では異常が見つからない。このため延々と検査が続く。外見上は健康に見えるため、職場や家庭では「やる気がない」「なまけている」と思われ、理解されないのがつらい。医師の認知度も低く、「よく睡眠をとり、栄養のあるものをしっかり食べることですね」といったおざなりのアドバイスですまされることが多い。
2012年に厚生労働省の研究班が、慢性疲労症候群の診断基準を発表した。それによると、次のような特徴がある。
(1)日常生活が困難なほどの疲れが6か月間以上続いたり、再発したりする。
(2)内臓・神経・筋肉などに異常が認められないのに全身に倦怠感がある。
(3)倦怠感は突然発症し、しかも発症した時期が明確である。
(4)倦怠感は、現在の仕事や生活習慣のせいではなく、十分な休養をとっても解消しない。
2015年の厚生労働省の調査では、国内の患者は推計で約30万人。そのうち3割が寝たきりや介助が必要な状態だ。しかし、「なまけ病」と呼ばれ、「難病」には指定されていないため、公的な福祉サービスが受けられない。「予備軍」の人はその10倍の300万人近くいるとみられている。