安倍晋三首相は2016年7月10日夜に放送されたテレビ東京の選挙特番で、2013年12月を最後に靖国神社を参拝しないことについて保守勢力からの批判が出ていることについて「甘んじて受け止めたい」と述べた。
今後も外交関係に配慮して当分は参拝を見送る方針を示唆した形だ。
「政治家に求められているのは、いわば思想家ではないから...」
安倍首相の発言は、司会の池上彰氏との中継の中で出た。池上氏が安倍政権で日韓関係が改善したと指摘する中で、
「靖国神社に参拝されないとか、そもそも安倍総理をずっと支えてきた、支援してきた保守勢力の中には、『安倍さんは真の保守総理ではないんじゃないか』という批判の声も最近出ている」
と質問したのに対して、安倍氏が
「政治家ですから、結果において、様々なご批判、あるいは評価もあるのだろう。それは甘んじて受け止めたい」
と答えた。池上氏が
「ご自分の思いや支持者の思いはありますけれど、総理大臣としてやるべきことをやっていくんだ、ということですね?」
と念を押すと、安倍氏は
「政治家に求められているのは、いわば思想家ではないから、どのように結果を残していくのかなんだろうと(思う)。任期を通じていかに結果を出していくかということだと思っている」
と応じ、中継は時間切れになった。
安倍氏が最後に靖国神社を参拝したのは、第2次政権発足から1年が経過した2013年12月26日。直後に近隣諸国が反発したのに加えて、駐日アメリカ合衆国大使館が「失望している」と異例のコメントを出した。それ以降、安倍首相は靖国神社へは「真榊(まさかき)」を奉納するにとどめていた。