参院選で社民党の吉田忠智党首の落選が濃厚になるなか、2016年7月10日、党本部に苦虫をかみつぶしたような顔で現れた。
前身の日本社会党結成から71年、かつて野党第一党として一大勢力を誇った日は遠く、「党首が落選する」結果を待ち受けた。
「今後関係者と話し合ったうえで慎重に判断したい」
今回社民党は、比例に吉田党首と福島みずほ(瑞穂)副党首、選挙区に増山れな氏(東京)、森ひでお氏(神奈川)、平山良平氏(愛知)、たけうち信昭氏(福岡)が出馬。投票前に新聞各紙が出した獲得議席予想はおおむね"0か1"と厳しく、さらに改選する吉田氏と福島氏はいわば"党の顔"ということもあり、仮にどちらかが落選した場合党の勢力が一層減退するのは必至とみられていた。
投票終了直前の午後7時50分ごろ、永田町の党本部は静かだった。記者会見の受付開始前に集まった報道関係者の数はまばらで、「(空気が)まったりしていますね」と話す声もあった。8時30分ごろに朝日新聞が吉田党首の落選確実を報じた。
午後9時、吉田党首は険しい顔で会見会場に登場した。
目標であった2議席の確保については
「2議席に何とか届いてほしいと思いますが、現時点では厳しいかなと考えています」
今回苦戦を強いられた理由については
「今回野党は32の1人区で候補を一本化しました。この中で社民党は野党連携のかなめ石として一定以上の成果をあげましたが、その一方で野党の中で社民の独自性を発揮することに苦心しました」
各メディアが改憲派が3分の2以上獲得する可能性が高いと報じていることについては
「今回の選挙では安倍政権が明らかに意図的に改憲について明言を避けていました。結果として参院選の争点として改憲が取り上げられなかった」
と安倍政権を厳しく批判し、
「改憲が争点でなかった以上、今回の投票の結果は国民が改憲を認めたということにはならないと思います」
と持論を展開した。自身が落選した場合、今後の進退については
「最終結果が出るまではなんとも言えない。いずれにせよ今後関係者と話し合ったうえで慎重に判断したい」
と述べるにとどめた。