日本は完全に向こう側になってしまった――ダッカ・テロ事件の背景にあるもの(下)
聖心女子大・大橋正明教授に聞く

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今の日本は「向こう側」になってしまった

――今回のテロについて、ネット上では「親日国なのに、なぜ日本人が襲われたのか」という反応がよくみられました。日本人はこうしたテロ組織にとって「敵」でしかないのでしょうか。

大橋教授   今回、襲われた日本人の方は「日本人だから殺さないで」といったことを叫んだと報じられています。昔は間違いなくそういう論議が通じました。
バングラデシュ人というのは、もともと日本人に似ていて「ウェット」な人たちです。エモーショナルな人たちとも言えますね。もともとはインドの一部だったことから、おしゃべりでうるさいところもあるのですが、一方で東南アジアに近いこともあり、非常に温厚な人たちなのです。そして、先ほど話したとおり、日本に対しては歴史的な背景からすごく親近感を持っています。
しかし今の日本は、イスラム過激派からすると、完全に向こう側=「有志連合」や「十字軍」の一員となってしまいました。安倍晋三総理の安保法制でまさにそういう姿勢を示したわけですから、過激思想に走った人々にとっては、もう「日本人だから」というやり方は残念ながら通じなくなってしまったのです。
日本からの援助は経済開発に偏っているので、経済成長の中で生じてしまった一層の不正や腐敗の問題は野放しになったままです。賄賂の問題もそうですし、たとえば、逮捕された人たちがちゃんと弁護士をつけられるだとか、拷問を受けないだとか、女性がセクハラされないだとか、そういう重要な社会的正義が守られていない。
そんな政府を日本が援助して経済成長を続けていく――というのは、一部の人たちから見れば、ちょっと絶望的な気分になるんじゃないかという気がするのですよね。「僕ら金のために生きてるんじゃないんだ!」と。今回の事件では、狙われたわけではないにせよ、避けられなかったのはそのせいですよね。
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