「名古屋流」は東京で通用するか コメダ珈琲店の逆張り経営

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社長「東南アジアに注目しており、準備したい」

   そんなコメダが上場したのは、知名度を高めて店舗展開を加速するためだ。上場に合わせて資金調達する公募増資はしていない。創業者が2008年に持ち株を投資ファンド「MBKパートナーズ」に売却して東海地方を飛び出す全国展開を託しており、上場はそのMBKの「出口戦略」でもあった。ただ、16年6月29日についた初値は、円高・株安が進む逆境下とはいえ、公開価格(1960円)を5%下回る1867円で、終値は4%下回る1879円と順調な滑り出しとは言えなかった。上場日に記者会見した臼井興胤社長は「市場の評価は真摯に受け止める」と述べざるを得なかった。

   それでも臼井社長は意気軒昂。記者会見では8月に北海道、今秋に南九州に初出店することを披露したうえで、「年間70~80店開店する」と強調した。2020年度に1000店を目指したい考えだ。海外1号店となった今年4月開店の中国・上海に続く海外展開についても「東南アジアに注目しており、準備したい」と語った。

   ただ、基本的に地価や賃料が東海地方より高い東京で「ゆったり感」を維持するには、現在進めているような郊外型に頼るしかないかもしれない。それも一つの道ではあるが、名古屋市内のそこかしこでサラリーマンやリタイヤ組のおじさんたちに憩いの場を提供しているような状況を東京都心部で展開できないとなれば、真の意味でコメダが浸透したとは言えまい。東京都心部にコメダをどう出店するか、経営者の手腕が問われる。

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