品質やサービスも携帯大手と遜色なくなる
「格安スマホ」が躍進する背景には、NTTコミュニケーションズやIIJといったIT大手に加えて、楽天(楽天モバイル)やU‐NEXT(U‐mobile)、BIGLOBE、ケイ・オプティコム(mineo)、さらには2016年2月には流通大手のイオンが、16年夏には無料通信アプリを手がけるLINEが参入を予定するなど、サービスの担い手が増えてきたことがある。
それに伴う、事業者間のサービス内容や料金などの競争激化。また、総務省が16年4月以降、ケータイ大手にスマホの「実質0円」販売を禁じたことがあるともいわれる。
格安スマホ同士の値下げ競争も過熱。「FREETEL」ブランドのプラスワン・マーケティングは、通信料とスマホ本体(Android搭載)の分割代金の合計で月576円(税別)から使える新しいキャンペーンを、2016年6月27日に発表した。
同社はNTTドコモの通信回線網を利用するが、NTTドコモなどケータイ大手の最低料金よりも、じつに8割以上も安くなる。
楽天も、月1880円(税別)でスマホが使える新プランを7月1日から始めた。中国の中興通訊(ZTE)製の機種を選び、本体代金の24回の分割払いと月2ギガバイト分のデータ通信料、専用アプリを使った5分以内の通話料を含んだ料金だ。
一方で、格安スマホも最近は、データ量の上限や通話品質などのサービス内容もケータイ大手に比べて遜色がなくなってきている。脅かされるケータイ大手はどうしているのか。
KDDI系のUQコミュニケーションズ(UQモバイル)は、格安スマホが月1980円(税別)から使える「イチキュッパ割」キャンペーンを7月1日に開始した。従来料金から1000円値下げ、ソフトバンク(Y!モバイル)の「ワンキュッパ割」や、他の格安スマホに対抗。UQモバイルを受け皿に、auユーザーが他社に流れるのを食い止める。
MM総研は、「月5000~6000円で提供しているケータイ大手と比べて、格安スマホはサービス内容によるとはいえ、月980円ほどで提供しているのですから、『格安もどき』を売ってでも対抗せざるを得ません」と指摘。格安スマホ市場が伸びていくなか、「ケータイ大手も、これ以上見過ごすわけにはいかなくなったというのが現状。放っておくと、いずれ(ユーザーが)一気に格安スマホに流れてしまうとの危機感ともいえます」と話す。