「野党統一候補であるならば、ぜひ出させていただきたい」――。俳優の石田純一さん(62)が2016年7月8日、東京都内で会見を開き、条件付きで都知事選(14日告示、31日投開票)へ出馬する意向を示した。
14時半すぎ、石田さんは支持団体の男性とともに会見に臨んだ。濃いグレーのスーツに黒い細身のネクタイ、足元は「素足にローファー」というおなじみのスタイルだ。
都知事選で「政党からの出馬要請はない」
冒頭で「市民連合の方から要請があり、意見交換をしてきた」と明かすと、「野党統一候補であるならば、ぜひ出させていただきたい」と明言。「今は与党が非常に強い。野党が結集しないと、思いを力に変換できていけない」と野党4党で統一候補を立てる必要性を訴えた。
ただ、石田さんは必ずしも「自分が出たい」という思いはないようで、
「もし野党が統一候補を出せずに分散して出るということであれば、私は降りて市民の側と寄り添って応援させていただきたい。少しでも力を結集したほうがいいと考えている」
と話す。現状、政党からの出馬要請もないといい、石田さんが統一候補となる可能性については「10%かそれ以下ではないか」とも自己分析した。
都政では「安心して子供を産め、老後も不安なく過ごせる社会をもう少し具体的に実現していきたい」という。
重視するのは、子育て支援。「日本の中でも東京は出生率が一番低い。結婚しにくい、子どもも産みにくい、育てにくい。これでは希望を持てない。特に東京は世界に誇れる都市なのに、そこが充実していない」と力説した。
また、都知事選では憲法改正も争点にする方針のようで、
「僕が市民目線で言えるのは、憲法のどういうところを変えていくのか、どういう日本に変えていくのかが全く論議されていないということ。都知事選ではそういうことも含める」
と主張した。
政治経験なしでも「新しい風が吹いてもいいのでは」
石田さんは「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)のキャスターを務めたこともあり、政治や社会問題への関心が深い。
政治経験、行政経験がないことについては「非常に批判的に思われるところだとは思う」としつつ、元大阪府知事である橋下徹氏(47)の名前を挙げ、「府知事になられた時には政治経験がなかったが、非常に政治的能力の高い方だった」と指摘。その上で
「政治のプロがやったからすべてOKというわけではない。新しい風が吹いてもいいのではないかと思う」
と話した。
石田さんの出馬意向表明はインターネット上でも話題になっているが、反応は必ずしも芳しくない。
「氏が唱えてる事は都政じゃなくて国政では?」
「奥さん反対しとるんやろ??やめとけ」
「『石田純一にやらせるくらいだったら、俺が都知事になった方がまだしもだろ』と思っている男性が、都民の中に何万人いるのだろうか」
といった意見が上がるほか、野党統一候補の条件付きで出馬という提示の仕方に、「何様?」という書き込みも増えている。
報道陣からは、芸能人としての仕事への影響についても質問が飛んだ。現在、CM契約やテレビ出演などの問題はほぼ解決済みだという。
実際、2015年9月には安保関連法案に反対するデモに参加して注目を集めたが、実はこれにより「注意を受けたり、仕事も減ったりした」という。
一方で、プロゴルファーで妻の東尾理子さん(40)は、今も出馬を反対している。記者から改めて尋ねられると「そうなんですよね」と苦笑いし、「心配で、不安で、反対です」と言われたことを明かした。ただ、離婚危機について問われると「それはないと思うんですけど」と笑った。