遺伝子変異が見つかり、乳房や卵巣を切除した人も
研究チームは、東京都内の4つの病院で2012~2014年の3年間に、親族に乳がんや卵巣がんを発症した女性がおり、自分も発症し遺伝子検査を受けた827人の女性を対象に選び、遺伝子を分析した。827人の間では親族関係はなかった。その結果、88人に「BRCA1」、75人に「BRCA2」、1人に両方の遺伝子変異が見つかった。全体の遺伝子変異の発見率は約20%だった。
また、827人に血縁者を加えた合計986人の女性の遺伝子を分析すると、250人(約25%)に遺伝子変異が見つかった。発見率が増えたのは、変異があった患者の血縁者が多く検査したためだ。そして、986人のうち62人が卵巣を、28人が乳房を、検査で異常が見つかった段階で予防のために切除したという。
つまり、親族に2人以上の乳がんや卵巣がんの発症者がいる女性は、5人に1人、または4人に1人の割合で遺伝性がんの体質であることになる。同コンソーシアムは、2016年度は全国30施設以上で、遺伝性乳がんと卵巣がんの本格的な調査を行なう予定だ。親族に乳がんや卵巣がんの患者がいる人は、精度の高い検査を受けるよう呼びかけている。