増田氏、岩手県知事時代に借金2倍に膨らむに
一方の増田氏にも、知事、とりわけ「東京都知事」としての資質を疑問視する声が出ている。増田氏は1995年に43歳で岩手県知事に初当選。当時は全国最年少の知事だった。07年4月に3期12年の任期を満了して退任したが、地元メディアの増田県政に対する評価は割れている。
07年4月28日付の岩手日報は、論説記事の中で、増田氏が岩手の知名度アップには貢献したとしながらも、
「しかし、一方で県債残高が約1兆4000億円まで2倍に膨張、岩手競馬では330億円の新たな税金をつぎ込んだ。マニフェストの結果には七十点の自己採点を付けたが、当然ながら県民の評価は分かれるところだ」
などと指摘。07年4月26日付の河北新報も。(1)地方分権改革の先頭に立った(2)自動車関連産業の集積を進めた、といった功績を紹介する一方で、
「県北・沿岸振興や岩手競馬再建では県内首長から『後手に回った』との指摘が相次いだ」
とも報じている。県議会との関係も良好ではなかったようで、伊藤勢至議長(当時)は
「知事と議会は『車の両輪』と言いながら、岩手競馬融資に象徴されるように最初に結論ありきで、両輪として扱われたことはなかった」
と同紙に対して語っていた。
増田氏が総務相だった08年の参院予算委員会では、田中康夫議員から知事時代に負債が2倍になったことを蒸し返された。増田氏は、
「地方税の収入がなかなか伸びない、あるいは途中でずいぶん落ち込んだ時期もあり、やはり地方経済がうまく立ち行かない」
などと説明しているが、都知事に就任した場合、都の財政を悪化させるのでは、と懸念する声も出ている。
それどころか、増田氏は総務相在任時に、大都市に流れる法人関連の税収を地方に再配分するための税制改正を行っている。この結果、東京は本来の税収よりも、年間で約1200億~約2000億円の税収減になっている。「東京のカネを地方に流した」わけだ。
この点を念頭に、秋田県の佐竹敬久知事は7月4日の会見で、
「増田さん苦しいと思うんだな」
「(歴代都知事は)『あれは東京の税金だから地方にやらない』と(言ってきた)。それを今度、増田さん言えるのかな」
などとして、増田氏が都知事になったとしても都民の利益を代表できるかに疑問符をつけた。
都知事選には、これまでに実業家のマック赤坂氏(67)、元大阪市北区長の中川暢三氏(60)、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の前会長、桜井誠氏(44)、洋画家の河野充喜(みつよし)氏(76)、元労相の山口敏夫氏(75)が都知事選出馬の意向を表明している。