東京都知事選(2016年7月14日告示、31日投開票)をめぐり、自民党都連が結論を先送りしているうちに、「保守分裂」のリスクがさらに高くなった。すでに出馬の意向を示していた自民党の小池百合子・元防衛相(63)は7月6日夕方、東京・永田町の衆院第1議員会館で会見し、正式に立候補を表明した。自民党都議団が増田寛也・元総務相(64)の擁立を目指す中での「見切り発車」だ。
その小池氏は、相次いで政治資金をめぐる問題が指摘される一方、増田氏をめぐっても、早くも都知事としての資質を問う声が噴出している。「分裂」して戦う双方のアキレス腱が、知事選前から露わになってきた。
小池氏、政治資金パーティー報告を6日に急きょ修正
小池氏は7月6日の会見冒頭で、
「(都連からの推薦の結論が)『6日をメドに』と申していたように、政策を論じる時間がなくなるということもあり、客観的、自らの意思を含めて、総合的に判断した結果、このたびの立候補に結論を導かせていただいた。このままでは推薦が得られないので、不本意ながらパラシュートなしの立候補になる」
などと立候補の理由を説明した。小池氏は公約として「都議会の冒頭解散」などを掲げた。都知事が解散権を行使するためには、都議会で不信任決議が可決される必要がある。この点は小池氏も承知しているとしながらも、そのようにして「冒頭解散」に持ち込むかは会見の中では明らかにならなかった。
小池氏をめぐっては、同氏が代表を務める政党支部の事務所の賃料が相場よりも安いとして、産経新聞が7月4日の紙面で
「家賃相場との差額は寄付として政治資金収支報告書に記載する必要があるが、公表された支部の収支報告書に記載はなかった」
などと問題視。小池氏は翌5日に会見して「通常の取引だ」などと反論したばかりだった。
6日の会見でも、終了直前に別の政治資金をめぐる質問が出た。週刊文春が7月7日発売の7月14日号で、2012年の3月と6月に小池氏が開いた政治資金パーティーについての記載が政治資金収支報告書から漏れており、ほぼ同じ金額が「会議費」として支出欄に記載されたことを指摘している。
小池氏はこの問題は「記入ミス、記入漏れ」だとして、7月6日付で「すでに選管で収支報告を修正させていただきました」と述べ、会見場を後にした。今後、小池氏に対する「身体検査」が厳しさを増す可能性もある。