カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した『桜桃の味』などの作品で知られるイランの映画監督、アッバス・キアロスタミ氏が2016年7月4日、がん治療のために滞在していたパリで死去した。76歳だった。イラン国営通信が同日に報じた。
ネット上には、「素晴らしい映画をありがとうございました」など追悼の声が相次いでいる。
小津安二郎監督に捧げる作品も
キアロスタミ氏は1940年、イランの首都・テヘランに生まれた。テヘラン大学芸術学部を卒業後、70年に監督としてデビュー。プロの俳優ではない素人を起用するなど独特の手法で知られ、87年発表の『友だちのうちはどこ?』で脚光を浴びた。99年発表の『風が吹くまま』では、ベネチア国際映画祭審査員大賞を受賞している。
日本とのつながりも深く、2004年には高松宮殿下記念世界文化賞をイスラム圏から初めて受賞。03年にはNHKの委嘱で『5 five ~小津安二郎に捧げる~』を制作したほか、12年には横浜や静岡など国内を舞台にした『ライク・サムワン・イン・ラブ』を発表している。
キアロスタミ氏の訃報を受け、ツイッターやネット掲示板などには、
「ご冥福をお祈りします」
「素晴らしい映画をありがとうございました」
「一番好きな映画監督でした」
といった追悼のコメントが相次いで寄せられている。16年7月5日昼には一時、ツイッターの「トレンドワード」にもキアロスタミ氏の名前が登場していた。