「青缶」の愛称で知られるスキンケア商品「ニベアクリーム」の容器の塗装を削り落とし、空き缶をインテリアや小物入れとして使うことが、一部のネットユーザーの間で注目を集めている。
画像共有SNS「Instagram(インスタグラム)」には、青い塗装を削った「ニベア銀缶」の写真が150枚以上投稿されており、「めっちゃカワイイです」など絶賛の声が上がっている。
女子高生はニベア缶「デコる」
ドイツの化粧品会社が1911年に開発したニベアクリームは、世界的なシェアを持つロングセラー商品だ。国内では68年設立の「ニベア花王」が製造・販売を手がけており、「定番」スキンケア商品の1つとして日本人の間でも長年にわたって親しまれてきた。
そんなニベアクリームに若者から大きな注目が集まったのは2013年のこと。100ミリリットルで定価5万円を超える高級スキンクリームと「成分がよく似ている」との「噂」がネット上で流れたのをきっかけに、若い女性を中心にしたニベアブームが起きた。
こうしたブームに伴って、女子高生などの間で、青いニベア缶のフタ部分にシールやビーズなどを貼って「デコる」ことが流行し始めた。実際、デコレーション用のパーツを付属したセット商品もニベア花王から発売されている。
そうした動きの中で生まれたのが、ニベア缶の青い塗装を削り落とした「銀缶」だ。あるネットユーザーが14年10月、「これなら男が使ってもかっこよくないですか」などのコメント付きで、「銀缶」の画像をインスタグラムに投稿したのだ。
こうした投稿をきっかけに、インスタグラムにはハッシュタグ「♯ニベア銀缶」が登場。多くのユーザーが塗装を落としたオリジナルのニベア缶の画像をアップしており、その数は16年7月1日現在で150枚を超えている。
メーカー「大変嬉しく思っています」と感謝
インスタグラムにアップされた「銀缶」を見たユーザーからは、
「青缶も好きだけど銀缶はなんかもうステキすぎてやばい」
「花王に提案して商品化して欲しい!!」
「たしかに見た目かわいいけど、手で数時間かけて磨き続けた根性に脱帽!」
などと絶賛する声が上がっている。14年10月の初投稿からはすでに1年半以上が経っているが、現在も定期的にアップするユーザーが絶えない。
その一方で、製作者側からは「製作期間3日」「5時間以上削ってた」など、予想以上に手間や時間がかかったと「後悔」する声も。なかには、「くだらないことに情熱を燃やして馬鹿みたい」「こんな労力もっと他のことに使うべき」と自虐的な呟きを漏らすユーザーも出ていた。
ただ、最初に「銀缶」をインスタグラムに投稿したユーザーは16年2月14日、自身が運営するサイト上で、
「日用品デザイン全般に向けたアンチテーゼというか、たかが消耗品といえど、家庭ではいつも身近にある日用品のデザインの重要さに、もっと一般の方や企業の中の人にも、フォーカスをあててほしかった。」
と制作コンセプトを明かしている。続けて、「もっと自然に、良いデザインがドラッグストアとかで手に入ると買い物も楽しくなりそうですね」との思いも綴っていた。
ニベア花王の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、商品の缶をアレンジして楽しむ動きが出ていることに対し、
「それだけ商品に愛着を持って頂いているということで、大変嬉しく思っています」
と感謝を述べた。ただ、一部のファンから出ている「銀色の缶を商品化して欲しい」という要望に対しては「メーカーとして販売する予定はありません」との回答だった。理由としては「ニベアの青色はブランドのアイコンとして大切に使用していく考えです」と話している。