民泊めぐる水面下のバトル 議員連盟・業界、それぞれの思惑

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   一般住宅の空き部屋に観光客を有料で泊める「民泊」を本格的に解禁する新法制定の方向が見えてきた。従来からの旅館業法の枠を維持しつつ、国家戦略特区も使って一定の規制緩和は図られたが、なお制度の使い勝手は悪い。新法で本格的に解禁されることになるが、旅館業界などの抵抗は根強く、具体的な中身を詰めるには、もう少し時間が必要のようだ。

   厚生労働省と国土交通省(観光庁)でつくる専門家による「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」が2016年6月20日に報告書をまとめ、従来の旅館業法に基づく許可制だけでなく、審査が簡単な届け出・登録制で、住宅地でも営業できる新法制定を明確に打ち出した。

  • 政府は旅館業法の規制を一部緩めた(写真はイメージ)
    政府は旅館業法の規制を一部緩めた(写真はイメージ)
  • 政府は旅館業法の規制を一部緩めた(写真はイメージ)

規制を緩める代わりに、違法民泊を一掃する狙い

   民泊の実態はかなり先に進んでいる。日本の民間のマンションや一軒家でも、米国生まれの民泊仲介サイトAirbnb(エアビーアンドビー)で予約を受け、実際に外国人旅行者が利用しているケースは多い。こうしたサイトには年間で日本の5000人・社が部屋を貸し出し、50万人以上の訪日客が利用しているとの推定もある。

   これらの多くは、「反復してお金を取って客を泊める」という「旅館」の一種として旅館業法での許可が必要だが、外国人観光客の急増もあって実態が先に進み、無許可の「違法民泊」が既成事実化している。このため、衛生面や治安上の問題があるうえ、住宅街の一戸建てや分譲マンションの1室などの民泊では騒音やごみ出しなどを巡り、近隣住民とのトラブルが社会問題化していた。

   政府は旅館業法の規制を一部緩め、同法上の「簡易宿所」について、宿泊者数10人未満の場合、客室面積基準(33平方メートル以上)を、3.3平方メートル×人数とし、玄関帳場がなくてもよくするなどとした。これとは別に、国家戦略特区による旅館業法の特例を認める仕組みを作り、指定された東京都大田区と大阪府でスタートしている。

   しかし、まだ規制が厳しすぎることから、専門家会議が今回、新法制定を打ち出したのだ。これにより、規制を緩める代わりに、登録や認可のない違法民泊を一掃する狙いだ。

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