「私は日本人」は防衛策にならず 「十字軍」敵視テロが突きつける現実

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「今後は海外では日本人を強調しない方が良いかも」の声

   つい最近も、日本人が標的にされたとして注目を集める出来事があった。

   16年6月、ISを名乗る組織が世界各国4000人以上の個人情報を書いた名簿をネット上で公開し、名前の書かれた人々を直ちに殺害するよう支持者に呼びかけた。報道によれば、その中には約70人分の日本人の情報が含まれていた。

   名簿には間違いも多く、信憑性に欠けるものではあったそうだが、それでも「日本人は例外」――ではない、という事がうかがえる。

   今回、「日本人です」と口にした男性が、どんな効果を期待して主張したのかは分からないが、もし「非キリスト教国で平和憲法を持つ国だから」という意味だったとすれば、それはもはや通用しない、ということなのかもしれない。バングラデシュは親日的な国として知られており、そうした関係性を念頭に置いていた可能性もある。

   日本のネットユーザーの間でも反響が広がっており、「今後は海外では日本人を強調しない方が良いかも」「『私は日本人だ』は『私は異教徒だ』と同義」との声が上がっている。

   元外交官で評論家の孫崎享さんは7月2日深夜のツイッターで、「残念ながら日本人なら無害は過去の話」と指摘。ISが後藤さんを殺害した際に、安倍首相に対して「おまえの無謀な決断でこのナイフは(後藤)ケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を場所を問わずに殺戮する」と警告した話を挙げた。

   一方、ISの警告と安倍首相の外交対応を関連付けて安倍政権を批判することに対しては、「(過激派の)思うつぼだ」との逆批判も以前からある。

   菅義偉官房長官は7月3日午前の記者会見で、死亡した日本人男女7人について、男性4人は80代、60代、50代、40代、30代、女性2人は40代と20代と明かした。今後の対応について、「バングラデシュについては一層の注意を改めて呼びかける」「全在外公館に邦人の安全確保に万全を期すよう指示した」と述べた。また、日本時間3日夕になって、AFPはバングラデシュの内相が、犯行は国内の過激派組織のメンバーで、ISの信奉者ではない、との見方を示したと報じた。

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