「熊本地震による新たな地震への懸念」への視点
一方、「読売」「日経」「産経」は支持の論陣を張る。3紙に共通するのは、2030年度に電源構成の原発比率を20~22%とする政府方針の実現に一歩近づいたという認識で、「この数字は運転40年超の原発が一定数再稼働することが大前提」(「日経」6月21日)であることから、「日本のエネルギー構成のあるべき姿に向かう、確かな前進だ」(「産経」6月24日)と歓迎、「読売」(6月21日)は「その達成(20~22%)には、運転延長だけでなく、原発の新増設も検討すべきだ」と踏み込む。
特に「産経」は「高経年原発を老朽原発とみなす誤解の解消も必要だ。この思い込みが世の中に満ちている。原発の設備の大部分は、定期検査の際に新品に交換されているので、老朽化の心配はなじまない」と、原発への世論の懸念をも一蹴する。
もちろん、「地元の理解を得ることも、再稼働に欠かせない条件である」(「読売」)、「基準は原発の安全性を確保するための最低限の対策であり、長期の運転で機器が劣化しないかなど課題も残る。......基準で定められた以外の安全策の積み重ねが欠かせない」(「日経」)と、慎重な対応も求めているが、熊本地震による新たな地震への懸念などには3紙とも触れていない。