三菱自「10万円補償」の評判 これで信頼回復?それとも...

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   三菱自動車工業が軽自動車4車種で燃費データを改ざんしていた問題が正常化に向け、大きく進展した。国土交通省が再測定した正しい燃費値を公表し、これを受けて三菱自が軽4車種のカタログ燃費を修正して国交省に届け、受理された。修正した燃費値は、従来のカタログ値より最大約17%悪化した。三菱自はユーザー1人当たり10万円を補填することも発表。多くの車種でエコカー減税の減税幅も見直しとなり、三菱自がユーザーに代わって負担することになった。

   問題となった軽4車種は三菱eKワゴン、eKスペースのほか、日産向けに生産したデイズ、デイズルークスの合計約62万5000台。国交省は4車種の燃費に不正はあったものの、排ガスは規制基準を満たしていたため、道路運送車両法が定める保安基準に問題はないと判断。自動車の量産・販売に必要な「型式指定」を取り消さず、正しい燃費の修正にとどめた。排ガスが基準をクリアしなければリコール(無料の回収・修理)となり、型式の取り消しとなるが、燃費は保安基準の対象でないため、今回は型式の取り消しとならず、行政処分も行われなかった。

  • 三菱自動車の益子修会長(写真右)と日産のカルロス・ゴーン社長(左)
    三菱自動車の益子修会長(写真右)と日産のカルロス・ゴーン社長(左)
  • 三菱自動車の益子修会長(写真右)と日産のカルロス・ゴーン社長(左)

負担額は80億~90億円

   問題となった軽4車種の燃費は、改ざんしていたカタログ値と正しい燃費の差が注目された。現行「eKワゴン」の初期型(2014年モデル)は、ガソリン1リッター当たりカタログ値(JC08モード)の29.2キロから26.8キロにダウン。eKワゴンの最新型(2016年モデル)は30.4キロから25.8キロに修正された。デビュー当初の初期型よりも、カタログ燃費の良い最新型の方が実際の燃費が悪い結果となり、三菱自の燃費データ不正を裏付ける格好となった。

   エコカー減税は燃費性能が基準を満たせば、ユーザーが支払う自動車重量税(国税)と自動車取得税(地方税)を軽減する制度で、今回のカタログ燃費の修正で多くの車種が影響を受けた。カタログで最も燃費が良かった2016年モデルでは、重量税が免税、取得税が非課税だったが、それぞれ50%軽減、60%軽減となった。

   エコカー減税の適用は区分が複雑で、同じeKワゴンでも2013年度、2014年度に購入したモデルでは、重量税の免税と取得税の非課税が、そのまま維持されるケースもある。いずれにせよ、エコカー減税の見直しでユーザー負担が生じた場合は三菱自が負担する。負担額は80億~90億円という。

軽4車種以外でも改ざん

   軽4車種の1台当たり10万円の補償は「ユーザーが余計に支払ったガソリン代とおわび分」で、年間1万キロを10年間走ったケースを想定。「10万円であれば、ほとんどすべてのお客様の負担増をカバーできる」(益子修会長)という。

   三菱自は軽4車種以外にも、新たにパジェロ、旧型アウトランダー、ギャランフォルティス、コルト、RVRの5車種(約10万台)でも燃費データの改ざんがあったと発表。5車種については「お詫び」として、1台当たり3万円を補償することになった。こちらは、データ改ざんはあったものの、「国交省に届け出たカタログ燃費を実際にクリアしている」として、一律3万円の補償にとどめた。

   三菱自は軽4車種の燃費データの修正と、新たに公表した5車種を含む計9車種の補償で、問題の早期収束を図る方針だが、果たしてユーザーの信頼回復を得られるのか。三菱自は2016年4月からストップしていた軽4車種の生産・販売も再開するが、7月以降の消費者の反応が注目される。

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