アボカド、マンゴー...増え続けるアレルギー食物 これはもう「現代病」なのか

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   アレルギー症状を引き起こす食物が増えている。アボカドやマンゴーなども、その一つらしい。

   厚生労働省によると、食物アレルギー疾患に起因するアナフィラキーショックで亡くなった人は、1999年に調査を開始して以降、ゼロ人だった2002年を除き、年間1~6人で推移している。

  • 食品メーカーは「食物アレルギー対応食品」に注力!(画像は、ハウス食品の「特定原材料7品目不使用シリーズ」のホームページ)
    食品メーカーは「食物アレルギー対応食品」に注力!(画像は、ハウス食品の「特定原材料7品目不使用シリーズ」のホームページ)
  • 食品メーカーは「食物アレルギー対応食品」に注力!(画像は、ハウス食品の「特定原材料7品目不使用シリーズ」のホームページ)

アボカドで失神や呼吸困難の例

   お笑いコンビ・フットボールアワーの後藤輝基さんが、奥さんと食事をしているとき、アボカドアレルギーで倒れ、慌てて救急車を呼ぶ事態になったことがあるという過去を、2016年6月29日放送の「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ系)で語った。

   それによると、後藤さんの奥さんは、料理のソースにアボカドが使われていることに気付かなかったという。番組では、その話を聞いていた笑福亭鶴瓶さんも、自分の奥さんはマンゴーアレルギーだと明かした。

   アボカドは「森のバター」といわれるほど、栄養が豊富で人気の果物。そのまま食べるほか、料理のソースなどに使われるケースも少なくない。

   そんなアボカドがアレルギー症状を引き起こすことがあり、食べると唇や口のまわり、口の中、舌や喉にかゆみを感じたり、咳や発疹ができたりする。ただ、重症化すると、血圧の急激な低下による失神や呼吸困難に陥るアナフィラキシーショックになることもあるという。

   食物アレルギーというと、卵や乳製品、そば、小麦、かにやえびなどの甲殻類がすぐに思い起こされるが、最近は大豆やコメ、ちりめんじゃこ、鰯、トマト、いちごやさくらんぼ、スパイス・・・と、原因とみられる食物はキリがないほど。いまや「現代病」ともいえる状況なのかもしれない。

   一方、食物アレルギーの患者数について、厚生労働省は「診断がむずかしいこともあり、わかっていません」という。そのうえで、「ただ、増える傾向にあると感じています」と話す。

   コンビニエンスストアやスーパーなどで売られている加工食品の裏側には、「原材料表示」や「注意喚起表示」などのアレルギー表示があり、製造する食品メーカーもこれに則って、消費者に注意を促している。

   とはいえ、後藤さんのケースのように、レストランのような飲食店のメニューやお品書きなどに、こうした原材料を表示していることは少ない。まして、ソースなどに調理して使用されている場合などは、食べてみるまでわからないことがあってもおかしくない。

   後藤さんは「(アレルギーの原因となっている食物に、いつ出会うかわからないので)怖いですよね」と話していた。

増えている「大人になってからアレルギー」

   厚生労働省や消費者庁によると、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになっている食品のうち、症例が多いものや症状が重篤なもの7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)を「特定原材料」と定め、これらを含む加工食品にはアレルギー表示を義務づけている。

   また、過去に一定の頻度で健康被害がみられた20品目(オレンジやりんご、キウイフルーツ、バナナ、もも、くるみ、大豆、まつたけ、やまいも、牛肉、鶏肉、豚肉、あわび、いか、いくら、さけ、さば、ゼラチン、ごま、カシューナッツ)を「特定原材料に準ずるもの」とし、これらを含む加工食品には表示することを推奨している。

   食品メーカーでは、こうしたアレルギーの原因となる食物を使っている食品について、「アレルギー表示」を徹底するとともに、原因食物を除去した「食物アレルギー対応食品」の開発を積極化している。販売数量は限られるものの、最近はユーザーの要望が強まっているためだが、原因食物を使わなくても、通常と同じ味になるよう工夫を凝らしている。

   日本ハムグループは、1996年から食物アレルギー対応商品の研究、開発を開始。食物アレルギーの原因となる特定原材料7品目を一切持ち込まないよう管理した、専用工場で製造する「みんなの食卓」シリーズを販売している。ロースハムやベーコン、ウインナー、ハンバーグやミートボール、レトルトの「お子様ビーフカレー」、「お米でつくったまあるいパン」や「米粉のパンケーキ」などをラインナップ。米粉パンは、山形県酒田市の小学校の給食でも食べられている。

   一方、ハウス食品グループ本社は、2008年2月にレトルトカレー「くまのプーさん カレー」(当時は、小麦、卵、乳、落花生、そばの5つを含まない製品)を発売したのをはじめ、「温めずにおいしいカレー」は東日本大震災のときに、災害時などでもアレルギーをもつ人でも安心して食べられるようにと開発した。

   14年8月には、特定原材料7品目を使わない「バーモントカレー 中辛」や「シチューミクス」を発売。「食物アレルギー対応食品」は、アレルギーをもつ子どもでも安心して食べられるように開発される食品が多いが、ハウス食品によると、最近は大人になってからアレルギーを発症するケースも少なくないようで、「カレーの開発方針を転換して、アレルギーのある人もない人も同じ一つの鍋でつくって食べられるよう『中辛』を優先して商品化しました」という。

   同社は「今後も、アレルゲンを極力使用しないように心がけています」と話している。

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