増えている「大人になってからアレルギー」
厚生労働省や消費者庁によると、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになっている食品のうち、症例が多いものや症状が重篤なもの7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)を「特定原材料」と定め、これらを含む加工食品にはアレルギー表示を義務づけている。
また、過去に一定の頻度で健康被害がみられた20品目(オレンジやりんご、キウイフルーツ、バナナ、もも、くるみ、大豆、まつたけ、やまいも、牛肉、鶏肉、豚肉、あわび、いか、いくら、さけ、さば、ゼラチン、ごま、カシューナッツ)を「特定原材料に準ずるもの」とし、これらを含む加工食品には表示することを推奨している。
食品メーカーでは、こうしたアレルギーの原因となる食物を使っている食品について、「アレルギー表示」を徹底するとともに、原因食物を除去した「食物アレルギー対応食品」の開発を積極化している。販売数量は限られるものの、最近はユーザーの要望が強まっているためだが、原因食物を使わなくても、通常と同じ味になるよう工夫を凝らしている。
日本ハムグループは、1996年から食物アレルギー対応商品の研究、開発を開始。食物アレルギーの原因となる特定原材料7品目を一切持ち込まないよう管理した、専用工場で製造する「みんなの食卓」シリーズを販売している。ロースハムやベーコン、ウインナー、ハンバーグやミートボール、レトルトの「お子様ビーフカレー」、「お米でつくったまあるいパン」や「米粉のパンケーキ」などをラインナップ。米粉パンは、山形県酒田市の小学校の給食でも食べられている。
一方、ハウス食品グループ本社は、2008年2月にレトルトカレー「くまのプーさん カレー」(当時は、小麦、卵、乳、落花生、そばの5つを含まない製品)を発売したのをはじめ、「温めずにおいしいカレー」は東日本大震災のときに、災害時などでもアレルギーをもつ人でも安心して食べられるようにと開発した。
14年8月には、特定原材料7品目を使わない「バーモントカレー 中辛」や「シチューミクス」を発売。「食物アレルギー対応食品」は、アレルギーをもつ子どもでも安心して食べられるように開発される食品が多いが、ハウス食品によると、最近は大人になってからアレルギーを発症するケースも少なくないようで、「カレーの開発方針を転換して、アレルギーのある人もない人も同じ一つの鍋でつくって食べられるよう『中辛』を優先して商品化しました」という。
同社は「今後も、アレルゲンを極力使用しないように心がけています」と話している。