長年「恥ずかしさ」抱え込んできた男性も
それでも実際は包茎手術専門の医療機関へ相談に行き、その日に手術をしてしまう若者が多い。こうした医療機関のサイトを複数見たところ、「仮性包茎は必ずしも手術しなければならないというわけではないが」と前置きしつつ、「放っておくと亀頭に発疹や炎症が起きる」「性行為に消極的になる」との言葉も並んでいた。施術を受けるか否かは本人の判断次第とはいえ、このような言葉にコンプレックスを抱える若者は不安をかきたてられたのかもしれない。
国民生活センターへの相談事例には「広告では10万円だったのに、安い手術だと仕上がりが汚くなるので高い80万円の施術を勧められた。術後、傷口が割れ、陰茎部分が何も感じなくなった」「ヒアルロン酸を注射しないと包茎に戻ると言われ、200万円の手術を受けた」といったものがある。インターネット広告や雑誌広告を見て手術を受けた人が多く、その4割に何らかの不具合が生じていたという。なおセンターは、ヒアルロン酸注射は「全く必要のないものです」としている。
熊本県合志市の泌尿器科医院・池田クリニックの池田稔院長は、2014年2月19日付西日本新聞(朝刊)の記事の中で「性器について正しい知識を持っていない現状」を問題視している。女子の月経に比べ、男子の体の仕組みは学校や家庭でも深く教えられないため、大人になっても人知れず悩んでいる場合が多い、と指摘。「ずっと悩んでいた」と定年退職した男性が相談に来たものの、仮性包茎だったため特に問題はなかったというエピソードも明かした。
ネット上の相談サイト「Yahoo!知恵袋」にも包茎手術の相談が連日寄せられており、10~20代を名乗るユーザーからのものも多い。ここでも「家族にばれずに手術したい」「合宿で友人に見られるのが恥ずかしい」としてネットで相談し、救いを求める例が複数見受けられる。
国民生活センターは、包茎手術を検討する場合、(1)効果だけでなく、リスクについても説明を受け、理解して納得できるまで契約しないように。不要な手術は断り、即日施術は慎重に(2)ホームページや広告の情報を鵜呑みにせず、情報集めを(3)トラブルにあったら一人で悩まず、消費生活センター(電話番号:188)へ連絡を、と呼びかけている。