米人気歌手のレディー・ガガさんが、訪米中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世と対談する様子をインスタグラムやツイッターで公開し、「炎上」状態になっている。
対談では特に政治の話題は出なかったが、中国人の反発を招いたようだ。批判コメントも中国語のものが多く、対談に反発した中国当局がガガさんの「締め出し」を図っているという報道もある。
対談はスピリチュアルな話題が大半だったが...
ガガさんとダライ・ラマは2016年6月26日(現地時間)、米インディアナポリスで行われた討論会で意見交換した。フェイスブックでも20分近い対談の動画が公開されている。それを見る限りでは、ダライ・ラマは「他者を思いやる心」(compassion)の重要性や冥想のあり方など、精神的側面から議論を展開。チベットや中国政府に関する話題は出なかった。だが、中国にとってダライ・ラマは「チベット分離主義者」。面会するだけでも中国からの風当たりは強かった。ガガさんは面会後に
「世界を前に進めるには希望が不可欠」
という1文とともに、ダライ・ラマと握手する写真をインスタグラムなど複数のソーシャルメディアに公開。普段はガガさんの書き込みにつくコメントは多くても数千件だが、握手の写真には2万4000件のコメントが殺到。その大半が
「恥を知れ」
「嫌いになった」
「中国市場のことを考えるのであれば、ダライと手を結ぶことは、決していい結果をもたらさない」
「ダライラマは宗教を政治利用している」
「中国をバラバラにしようとする企ては決して成功しない」
といったもので、英語と中国語が半々といったところだ。
環球時報、面会は「市場開拓と知名度の向上には逆効果」とけん制
香港のアップル・デイリーなどは6月27日、中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して、ガガさんの楽曲を使わないように指示したと報じた。それによると、中央テレビ、環球時報、人民日報など中央のメディアに対して、チベット独立勢力に対する対決姿勢を鮮明にすることも求めたという。
こういった通知も影響しているのか、中国共産党系の「環球時報」(電子版)は6月29日、ガガさんに批判が殺到していることを紹介。ネット上の声について
「今後、中国でコンサートを開くことができないとみるネット利用者もいる」
と紹介しながら、
「一部の西側のアーティストやビジネスマンはダライ・ラマに会いたがるが、これは人々を見下すような行動だ。このような行動は中国人民の反感につながり、市場開拓と知名度の向上には逆効果になる」
などと論評した。