「介護をなめるな」――。先日、覚せい剤取締法と大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕された元俳優の高知東生容疑者(51)の近況が分かるにつれ、インターネット上には、こんな怒り交じりの声が上がるようになった。
高知容疑者は2015年に芸能界を引退。理由については当時、妻である高島礼子さん(51)の実父の介護に専念するためと報じられていた。しかしフタを開けてみると、世間がイメージする介護とは大きな隔たりがあったようだ。
高知容疑者は「書類仕事」に「シフト組み」
高島さんの父は2004年に難病のパーキンソン病と診断され、高知・高島夫妻は10年以上にわたって介護を行ってきた。そうした中、高知容疑者は介護と家庭のサポートに専念することを決め、15年6月に所属事務所を退社。7月に芸能界引退が報じられた。
報道直後には週刊誌の取材に「介護の勉強を始めたい」「お義父さんの人生に役立つことができれば」と意気込みを語っていたほどで、献身的な決断は当時「美談」として話題になった。
だが、それから1年間、高知容疑者は「介護に専念」というには首をかしげざるを得ない生活を送っていたらしい。
2016年3月、明治座公演「御宿かわせみ」の制作発表に出演した高島さんは、父の介護はヘルパーがやっていると説明。夫については「書類仕事を率先してやってくれている」とコメントしていた。
また、「女性自身」7月12日号の記事によると、高知容疑者は逮捕される3週間前のインタビューで、現在の介護状況について「24時間、介護ヘルパーをつけている」としていた。
その上で自身の役割については「そのヘルパーのシフトを組んで、日々の報告を僕が引き受けているんです」と明かしている。――シフト組みが中心では、引退当時に話していた「介護の勉強」は特段必要なさそうだ。
一方、高知容疑者は15年冬に「体温管理士」の資格を取得し、16年5月に横浜市内でエステ店をオープンしている。
酒井さん、裁判で「介護の仕事を勉強していきたい」と語ったが...
逮捕後「介護引退」の真相が明らかになると、ネット上には「介護をなめるな」「イメージ戦略に使うなんてバチ当たり」「介護の仕事をしている者として本当に許せない」といった批判が相次いだ。
16年6月26日放送の「サンデージャポン」(TBS系)では、女医でタレントの西川史子さん(45)が「介護を隠れ蓑にしたってことが、まず許せない。その間にエステサロン開業しているけど、介護ってそんな生易しいものではない」と怒りを露わにした。
「介護」に精を出すことをアピールしながら実態が伴っていない――という意味で高知容疑者と共通するのが、09年に覚せい剤取締法違反罪で有罪判決を受けた女優の酒井法子さん(45)だ。
酒井さんは裁判の中で「介護の仕事を勉強していきたい」と語っており、10年1月には当時の創造学園大(群馬県高崎市)に特待生として入学した。
だが、同大は13年に廃校。事務所担当者によると、介護の勉強はこの時点で終了したといい、「以降は女優、歌手を本業とし、それに専念している」という。6月28日に出演した「本格復帰」イベントでも介護については一切触れなかった。
ネットニュース編集者の中川淳一郎さん(42)は28日、高知容疑者と酒井さんを例に出しながら「なんか『介護』が『立派な人』の象徴として悪用されてる感じだな」とツイートした。
ちなみに「カネと政治」問題で東京都知事を辞職した舛添要一氏(67)にも同様の疑惑がある。
かつて舛添氏は「母親の介護経験が政治家転身のきっかけ」と語り、98年には介護体験を綴った『母に襁褓をあてるとき――介護闘いの日々』を上梓。07年には厚生労働大臣に就任した。だが16年6月、母親と同居していた長女夫婦の娘が、実際はほとんど介護をしていなかったことを複数メディアで証言した。