「18歳から投票できる」初の国政選挙として注目を集めている今回の参院選。選挙運動をすることができる年齢も、従来の20歳以上から18歳以上に引き下げられた。ところが、総務省のホームページの選挙解説の欄(なるほど!選挙)には、今も「未成年者(年齢満20歳未満の者)は、選挙運動をすることができません」との記載が残っている。
ネット上では、こうした総務省HPの記載を根拠に、「18歳のスタッフ」を使っている参院選の候補者に対し、「選挙違反だ」と書き込む事態も起きている。
「18歳の女性スタッフ」めぐり「違反」指摘が
選挙権の年齢を「18歳以上」へ引き下げた改正公職選挙法は2016年6月19日に施行され、選挙運動ができる年齢も「18歳以上」となった。
ところが、ある野党の参院選候補者が6月29日、ツイッターで「18歳の女性スタッフ」について触れたところ、ツイッターやネット掲示板などで「未成年の選挙運動は禁止されている」といった指摘が相次いだ。この候補はその後、同ツイートを削除し、年齢を抜いた「女性スタッフ」との表現で、同様の内容をツイートし直した。
ネット掲示板の中には、総務省HPの選挙解説欄のURLを添付し、この候補の活動が選挙違反にあたる、と指摘するものもあった。
その総務省HPの該当ページを見てみると、総務省HP「選挙」欄のなかにある「なるほど!選挙」の「現行の選挙運動の規制」について解説しており、「未成年者(年齢満20歳未満の者)は、選挙運動をすることができません」と書いている。6月30日16時現在でもこの記載が確認できた。
総務省といえば、全国の都道府県の選挙管理委員会の総元締めのような存在だ。その総務省がHPで「違反だ」と解説していれば、ネット掲示板などで「違反だ」と信じる人が出てくるのは不思議ではない。
別ページには「注意書き」があった
一方で、総務省HPの「はじめての選挙 18歳選挙」の特設ページでは、「18歳選挙を学ぼう」の項目の中に「18歳以上(有権者)になれば選挙運動ができます」と正しく記載されている。ところが、その記載脇にある「詳しく知ろう」をクリックすると、別の資料(インターネットを使った選挙運動が出来るようになりました)に飛ぶのだが、こちらの記載は「年齢満20歳未満の者は、インターネット選挙運動を含め、選挙運動をすることができません」と書いている。
先に取り上げた、総務省HPの「現行の選挙運動の規制」にある「未成年者(年齢満20歳未満の者)は、選挙運動をすることができません」の記載は、修正し忘れなのだろうか。
実は、「現行の選挙運動の規制」を含む、ふたつ上の階層のページに戻ると、「(注)掲載資料は、平成25年(2013年)の制度改正時点のものであり、現在は18歳以上(有権者)になれば選挙運動ができます」と、きちんと解説している。
別のページに記載されている、この「(注)~」に気付かなかった人たちが悪いのか、それとも総務省が不親切だったのか......
いずれにせよ、この野党候補者は、ネット上で「選挙違反」の濡れ衣を着せられた形だ。