東京医科大学と東邦大学、資生堂は2016年6月27日、中年以降に脱毛症や薄毛になる患者の毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。
自分の細胞を採取して培養した後に患部に移植するため、育毛剤のように毎日服用しないですむ利点がある。効果や安全性を確かめたうえで、実用化を目指すという。
女性は育毛剤以外の選択肢が少なかった
研究チームは、患者の後頭部の毛のある頭皮を採取し、毛髪を作るもとになる「毛球部毛根鞘(しょう)細胞」を取り出し、培養によって増やして患者の頭部に移植する計画だ。自分の細胞なので、免疫拒絶の副作用がなく、採取する組織も直径数ミリと小さいので、患者の負担も少ない。また、育毛剤の場合は、ニオイなどで女性の選択肢が限られるが、男女を問わず適用できる方法という。臨床研究は男女約60人が対象となる。
坪井良治・東京医科大教授は「薄毛・脱毛に悩む患者さんは非常に多く、自分の細胞を用いた治療は新しい解決策になります。特に女性は、育毛剤以外に選択肢が少なかったのが現状です。患者さんの生活の質向上に大きく役立つと思います」と語っている。