箱根駅伝でも山下りは冷静な頭脳派選手が
なぜ、下りる方がよいのだろうか。研究リーダーのケン・ノサカ教授はこう説明している。
「階段や坂を下りる時は、着地するたびに太ももの前面の筋肉を伸ばして体をストップさせる必要があり、筋肉を使っています。この運動は階段や坂を上るより楽ですから、繰り返し行なうことができて筋力が効率よく鍛えられます。また、エキセントリック運動はコンセントリック運動より認知能力が多く要求されるものです。階段や坂を下りる時は、上る時より足元に気を使うし、腰を下ろす時も上げる時より椅子の状態を確かめる必要がありますから、脳の活性化に役立つのです」
確かにランニングでも、坂を駆け上がる時より、下りる時の方が難しい。下半身の筋肉や関節に体重の負荷がかかるため、下り坂のスピードを抑える必要があり、結構筋力を使うのだ。また、一歩一歩、注意深く足元の着地点を選ばないと膝を痛めるなどのケガをする。だから、箱根駅伝でも小田原から芦ノ湖までの山上りの5区は、「山の神」と称されるパワフルな選手が選ばれるが、山下りの6区は冷静沈着な頭脳派の選手が選ばれるといわれる。
足腰に自信がなくて駅の階段を敬遠している人は、エレベーターで上ってもいいが、下りる時はぜひ階段を使おう。