牛丼の「吉野家」がラーメンの「せたが屋」を買収したと発表し、メニューが変わるのかなどとネットで関心を集めている。以前、別のラーメンチェーンを買収して撤退したのになぜまた、との疑問も出ている。
「牛ラーメンを開発するのか」「ミニ牛丼セットとか出すの?」「ラーメンも『つゆだく』あるのかな」
過去には低価格「びっくりラーメン」事業で撤退
吉野家ホールディングスが2016年6月27日に買収を発表すると、ネット上では、こんな憶測が次々に書き込まれた。それだけ身近なファストフードへの関心が強いらしい。
せたが屋は、ラーメン食べ歩きを趣味とする前島司社長が、自分でもこだわりのラーメンを提供しようと、2000年に東京都世田谷区内で創業した。魚介のダシが効いた醤油豚骨スープが評判となり、テレビなどでも紹介されるほどになった。都内や埼玉県、そしてアメリカにも次々に出店し、現在は計17店を展開している。
吉野家では、せたが屋の株式のうち66.5%を取得し、子会社化するとともに、報道によると、今後は共同出店なども検討している。
ラーメンチェーンを吉野家が買収するのは、今回が初めてではない。
07年に180円と低価格が売りだった「びっくりラーメン」チェーンの事業を引き継いだことがある。このときはスープを改良するなどしたが、低価格路線を維持できず、当時の報道によると、小麦粉などの原材料価格の高騰もあって、09年に事業から撤退している。
それだけに、ネット上では、「ラーメンは1回失敗したじゃないか」「今度は大丈夫?」「ラーメン牛丼は合わない気がする」といった疑問も寄せられている。
吉野家「メニューを一緒にする可能性はない」
関心を反映して、せたが屋のホームページにはアクセスが殺到した模様で、6月28日昼ごろにはサーバーがダウンしたと一時表示されるまでになった。
ネット上で話題になっているように、吉野家もメニューを変えるなど戦略の見直しを考えているのだろうか。
吉野家ホールディングスにJ-CASTニュースが取材すると、広報担当者は、メニューに手を付けることには否定的だった。
「牛丼とラーメンを一緒にすることが一番イメージしやすいのかもしれませんが、その可能性はないと思います。人材活用や素材調達、出店場所などについて、リソースをお互いに利用し合うことが資本提携の目的です」
これまでに買収した「はなまるうどん」「京樽」も、メニューを一緒にしておらず、それと同様だという。むしろ、ラーメン事業を拡大することに主眼を置いており、ブームが続いている海外での展開も選択肢の1つだとしている。
また、一度ラーメン事業から撤退していることについては、「前回とは、事業の実態が違います」と説明する。「せたが屋の前島社長は、屋号も店舗によって変えるなどこだわりのラーメン作りをしているところに共感しており、提携すれば事業を発展できると考えました」と言っている。