HIVに感染させた場合は「傷害罪」に当たる可能性
さらにネット上では、HIVを隠して性交渉に及んだ女性の行為をめぐり、「法的責任に問われるのでは」といった疑問も出ている。
アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士は6月28日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「自分がHIVに感染していると認識した上で、故意に『うつしてやろう』と考えていた場合は、傷害罪にあたります」
と話す。ただ、傷害罪は暴行したけど傷害に至らなかった場合を除くと、「未遂」を処罰する規定がないため、罪に問われるのは「相手が感染した」場合のみになる。過去の判例でも、HIVではないが性病を相手に感染させたとして傷害罪が適用されたケースがあるという。
傷害罪は法律上「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められている。ただ、鈴木弁護士は「HIVは完治が難しい重い病気であるため、罰金では済まないでしょう」として、数年の懲役刑が科される可能性が高いとみる。
では、今回の女性のように、「故意に感染させるつもりがなかった」場合はどうなるのか。鈴木弁護士は、「過失と認定するのは難しく、感染させる可能性を認識しつつ認容していたら『未必の故意』があったと判断されるケースが多いのでは」と述べ、傷害罪が適用される可能性が高いと指摘した。
ただ、過失が認められた場合は「過失傷害罪」(30万円以下の罰金)が適用されるという。
なお、「自分がHIVだと知らないまま性行為におよび、相手を感染させてしまった場合」については、HIVウイルスに感染していることを知らなかったことについて本人の過失を立証することは「難しい」として、「刑事責任を問うのは難しい」と話している。