2016年7月10日に投開票される参院選では、民進党が独自の課題を抱えることになりそうだ。民進党は民主党と維新の党が合流する形で発足したが、「民主党」の名前は1996年の結党以来20年間にわたって使われてきたこともあり、「民進党」の浸透度はいまいちだ。永田町で取材するメディア関係者ですら「民主党」と言い間違うことがあるほどだ。
比例代表で「民主」「民主党」と書いてしまうと、無効とみなされる可能性もあり、民進党側は注意喚起に懸命だ。
13年参院選では713万表獲得
2013年の参院選では、旧民主党は比例代表で713万票を得て7人が当選している。16年の衆院選で、この「民主」票がそのまま「民進」票に移行するかが焦点だ。
「皆さん、民進党という名前を覚えてください。時々、まだ間違えられます。漢字も間違えないでください。参院選で比例のときに、間違った字を書くと無効です!」
民進党の岡田克也代表は16年6月に入ってから、たびたび街頭演説でこう呼びかけている。「民新党」と書かれることも恐れているようだ。蓮舫代表代行も6月26日朝、ツイッターで
「判断は各開票所の開票管理者の判断になりますが、比例区の投票に『民主』と書かれますと無効票と判断されることも否定できません。比例区は『民進党』でお願いします」
と呼びかけている。
16年の衆院選では「民主党」や「民主」で届け出た政党はなく、旧党名で投票すると無効になってしまう可能性もある。一方で「自由民主党」「社会民主党」という名前で届け出ている政党もあり、有権者にとっては混乱のもとになりそうだ。
総務省の選挙部選挙課によると、「民主」「民主党」と書かれた票の扱いは、開票所ごとに設けられた開票管理者が立会人と相談して判断する。今回の件について、統一的な判断基準やガイドラインを通達する予定はないといい、無効とされるか、なんらかの政党に投票したとされるか、判断にばらつきが出る可能性もありそうだ。総務省では
「投票所に書いてある政党や候補者名を確認した上で投票してほしい」
と話している。
「みどり」票は「みどりの風」と「石井みどり」に
過去の事例では、13年の参院選では比例代表で「みどり」と書かれた票は、政党の「みどりの風」(略称・みどり)と、自民党から比例に立候補していた石井みどり氏に案分されたという事例がある。
複数の政党が同じ略称を届け出たとして問題になったこともある。10年7月の参院選では、「たちあがれ日本」と「新党日本」の2党が「日本」を略称として届け出たが、新党日本が候補者擁立を見送ったため、混乱は起きなかった。
15年8月には、「維新の党」とたもとを分かった「おおさか維新の会」が、次期衆院選比例代表の略称を「維新」と届け出た。「維新の党」の略称も「維新」で、「維新」と書かれた票は両党で案分される可能性が高くなっていたが、「維新の党」は16年3月に民進党に合流した。16年の参院選で略称として「維新」を届け出ているのは「おおさか維新の会」のみで、「維新」票は「おおさか維新」の票としてカウントされる。