国立成育医療研究センターの研究チームは2016年6月28日、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)とES細胞(胚性幹細胞)から、ヒトと同じ視神経細胞を作製することに成功したと発表した。目の疾患の病態研究・治療法開発が期待されるという。
視神経は目と脳をつなぎ、視覚情報を網膜から脳へ伝達する。視神経に異常が生じると、重篤な視力障害が起きる。
視神経は中枢神経のため、ヒトからは取り出せない。動物からも十分に採取できる方法がなかった。そのため、視神経疾患の研究はあまり進んでいなかった。今回、マウスのiPS、ES細胞から視神経細胞を作製できたことで、治療法や創薬の研究の進展が見込まれている。
特に、緑内障の治療法開発が期待されている。緑内障は40歳以上の日本人の5%が罹患(りかん)し、治療中の患者が30万人、潜在患者は400万人と多く、日本人の失明原因で1位の25%を占める。