アマゾン、電子書籍の「読み放題」開始? 出版界は音楽業界の「二の舞」か

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出版物の販売額は11年連続マイナス

   全国出版協会・出版科学研究所によると、2015年の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比5.3%減の1兆5220億円。マイナスは11年連続で、減少幅は14年の4.5%減を上回り過去最大。ピークだった1996年の2兆6564億円に比べると、4割超も減った。

   書籍が、14年と比べて1.7%減の7419億円と微減にとどまったのに対して、雑誌は8.4%減の7801億円と大きく落ち込んだ。14年は書籍が前年比4.0%減、雑誌が5.0%減だったので、書籍はやや持ち直したものの、雑誌はさらに悪化したというわけだ。

   その一方、電子書籍や電子雑誌は前年比31.3%増えるなど拡大基調が続いているが、15年の電子出版の市場規模は1502億円で、まだ出版全体の1割ほどだ。

   このため、今後、電子書籍市場がさらに伸びれば、出版不況の深刻化を加速させるとの見方は拭えない。インターネットにも、

「もう、これ以上コンテンツの安売りはやめてほしい。ただでさえ最近の風潮は『コンテンツはタダが基本』だし 再販制度で長らく守られてきたツケをどこかで払う必要はあるけど、こんな急激に安売り合戦をはじめたら出版社はどんどん潰れるし、作家はとても食っていけない」
「出版社や著作者の取り分はどうなるんだろ。こういったサービスによって新刊が出なくなるようだと意味がないんだが・・・」

といった、出版社や作家への影響を懸念する声が寄せられている。

   音楽業界では、スウェーデンのSpotifyや米アップルのiTunes Radioなど、定額料金で音楽が聴き放題になるストリーミング・サービスが急拡大。アマゾンも、すでにプライム会員向けに音楽配信サービス「Prime Music」を提供している。こうしたサービスの広がりで、音楽業界ではアーティストやレーベルなどの収益が大幅に減ったとの指摘がある。

   電子書籍の定額読み放題サービスの開始で、音楽業界と同じように、出版社や作家などの収益機会が減るのではないかというのだ。

   出版科学研究所は、「(アマゾンが提供するサービスの)まだ詳細がわからないので、どの程度の影響があるのか、正直わかりません」と話す。

   加えて、サービスの提供から2年が経つ米国と日本とでは「市場が違います」とも。「電子書籍にはマンガが多いのですが、すでに出版社が独自で提供している作品が多く、読者もそれを利用しています」とし、使い慣れているサービスからの乗り換えが進むかどうかは、読めないという。

   数多くの有力作品やヒット作を保有する大手出版社が参加するかどうかによっても、その成否は変わってくると指摘する。

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