従来の薬は「あまり効かない」「高い」「つらい」
今回の結果について、研究チームのジュリー・バウマン博士はこう語っている。
「頭頚部がんの再発を予防する薬も開発されていますが、あまり効果がないうえ副作用が強く、しかも高価です。頭頚部がんは最近、大気汚染が深刻化した途上国で急激に増えています。スルフォラファンは、ブロッコリーやキャベツなど、アブラナ科の野菜に豊富に含まれている天然の成分です。有効性を示すことができれば、安くて効果がある新薬の開発につなげることができ、世界中で多くの人を救うことができます」
スルフォラファンは、約200種以上ある「フィトケミカル」の中でもナンバーワンの抗酸化力があるといわれる。2016年3月、米イリノイ大学の研究発表でも肝臓がんと脂肪肝の予防に効果があることが確認された。ほかにも、胃がんを引き起こすピロリ菌の繁殖を抑え、花粉症のもとになるアレルギー抗体「IgE」の発生を減らし症状を改善する効果が期待されている。
スルフォラファンは、ブロッコリー本体より、新芽であるカイワレ大根に似た形のブロッコリースプラウトに、「親」より20倍多く含まれている。バウマン博士らが実験に使ったエキスも、ブロッコリースプラウトから抽出したものだ。もちろん「親」のブロッコリーにも「葉酸」「ビタミンC」など体にいいものがぎっしり詰まっているので、合わせて食べよう。