財政投融資が先祖返り? 「無駄な事業への投資」増への懸念

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

超低金利のなか「どこまで資金ニーズがあるか疑問」

   もちろん、現在の財投活用論は、財投改革前への先祖返りというわけではないが、危うさを指摘する声は絶えない。代表的なものは将来の金利上昇リスクへの懸念だ。2016年6月10日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財投分科会でも「将来の金利変動に備えるべきだ」との意見が出た。財投は貸し出しが長期間にわたるため、財投債を借り換える際に金利が上昇し、貸出金利を上回る「逆ザヤ」が生じる可能性があり、大きな損失につながる恐れがある。政府がデフレ脱却を強力に進めるという以上、低金利が長続きしない理屈だが、そこを見越した対応策は示されていない。

   そもそも、経済活動は民間ベースで採算が合うものはやり、採算が合わなければやらないのが基本。政府は2008年のリーマン・ショック後、財投で中小企業の資金支援などを行ったように、今回も低利の財投資金を民間に貸し出し、企業の設備投資などを促したい考えだが、市場では「現在は超低金利にもかかわらず民間融資が低迷しており、どこまで資金ニーズがあるか疑問」(金融関係者)との声が聞こえる。逆に、例えば整備新幹線などは人口減少が進むなか、投資に見合う収入を得ることができるのか疑問視されるなど、「財投の趣旨から外れる融資で無駄な事業を増やし、財投改革前の昔に逆戻りしかねない」(エコノミスト)との指摘も出ている。

1 2 3
姉妹サイト