医者を変えるにはメリットとデメリットがある
竹原さんのケースでは、最初の「ぼうこう炎」という診断が正しかったのか、この時点でがんがあったのに医師が見逃したのか、分からない。医療専門紙の記者は、「(ぼうこうがんの宣告が)初診から1年経過していたことを考えると、必ずしも医師の最初の判断が間違っていたとは言い切れない」と指摘する。かかりつけ医での問診や簡単な検査では、詳しく調べきれずにぼうこう炎としか言えなかったのかもしれないとも話した。「ちょっとした体調不良」と患者本人が申告しているのに、いきなりMRI(核磁気共鳴画像法)検査をする医師はまずいない。
「医者を変えるタイミング」はどうか。これも何か特別な基準があるわけではなく、患者本人が決めるしかない。
治療の途中で担当医師や病院を変える場合は、メリットとデメリットの両面があるようだ。その点を、ある内科医がブログで説明している。
ここでは、風邪の症状が治らずに病院を変える場合を例にとっている。利点としては、複数の医師に診てもらうことで病気の見落としが少なくなる。病状に対して適切な診療科を選んでいなかった場合は、病院を変えることで正しい診断にたどり着く可能性が高まるかもしれない、と説明した。逆に欠点は、医師が変わるとこれまでの症状が改善、悪化どちらに向かっているかが把握しづらくなる。また利点と逆にかえって不適切な診療科に変わってしまう恐れも出てくる。
がんは日本人の死因ワースト1位だ。一定の年齢に達したら、定期的ながん検診を自発的に受けるのが早期発見の近道となる。竹原さんは現在44歳。元チャンピオンとは言え、体に変調が起きてもおかしくない年齢だ。今までにはない異変を感じたら、「もしも」に備えて進んで詳しい検査を受診した方が、医師の言葉をうのみにするだけよりもリスクの芽を摘む確率は高まる。