鳩山由紀夫元首相が中国主導で設立された「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の顧問委員に就任する見通しになり、波紋が広がっている。
日本はAIIBの「競争相手」ともいわれる「アジア開発銀行」(ADB)を米国とともに主導する立場であり、AIIBへの参加を見送っていた。こうした状況で飛び出した鳩山氏のスタンドプレーをめぐっては、政治家や識者からも「身勝手な行動は慎んで欲しい」などと厳しい批判が出ている。
日米両国の切り崩し作戦の一環?
鳩山氏がAIIB顧問に就任するとのニュースは、時事通信が2016年6月25日夜から26日にかけて、北京発で報じた。報道をまとめると、鳩山氏が就任するのは「国際諮問委員会」の委員。AIIBの金立群(ジン・リーチュン)総裁らに第三者の立場で助言する機関で、首相経験者など10人程度で構成する見通しとなっている。
鳩山氏は時事通信に対して、15年11月に北京を訪れた際、金総裁から正式な就任要請を受けたと説明。もともと日本のAIIB参加に前向きだった鳩山氏は、「その場で要請を受け入れた」という。また、技術分野での協力など「(AIIBに)参加しない中でも日本の役割を考えていきたい」とも表明したといい、AIIBを通じて日中関係の改善にも意欲を示したという。
ただ、同じアジア地域の国際金融機関であるADBを主導する日本は、米国とともにAIIBの参加を見送っている。一方の中国側は、参加に否定的な日米両国の切り崩しを狙っており、今回の鳩山氏の顧問就任がその一環と捉える向きもある。
日本政府がAIIB参加に慎重な姿勢を崩さない中で、顧問委員への就任要請を受けたという鳩山氏。こうした「スタンドプレー」に対し、鳩山氏のツイッターアカウントには批判的なリプライ(返信)が続々と寄せられており、「炎上状態」になっている。