いつ「萎縮状態」から脱するか
もちろん、マクドナルドも何もしないで回復したわけではない。なんといっても大きかったのは新メニューの投入だろう。16年4月に投入した、主力の「ビッグマック」より一回り大きい「グランドビッグマック」が人気を集め、前倒しで販売を終了。4月下旬に発売した肉の量が多い「クラブハウスバーガー」、5月発売のハワイ名物を模した「ロコモコバーガー」も好調。客数は5月まで5カ月連続で増え、5月は前年同月比7.0%増。客単価も5月まで6カ月連続で増え、5月は13.3%増だった。
このほか、訪日外国人を意識した無料の公衆無線LAN「WiFi(ワイファイ)」のサービスを、7月末までに半数の店舗で導入する。
ただ、売上高が鶏肉期限切れ問題以前にまで戻っているわけではく、「取り戻せた客はまだ半分程度」(アナリスト)との声もある。「グランドビッグマック」の成功も、「本部の腰が引けていて、準備数が少なく、早々に販売を終了させざるを得なかったため、現場の店からは不満が出た」(全国紙経済部デスク)という段階だ。「大成功」の機会を逸したとしたら、なお萎縮状態から脱していないのもしれない。
成長軌道に再点火するには、消費者の関心を集めるメニューを打ち続けることが不可欠だが、失敗を恐れるばかりでは、ヒット作は望めない。サラ・カサノバ社長以下の経営陣の次の一手に関心が集まる。