帰宅後も家事でゆっくり休めず
この意外な結果について、研究チームでは論評していない。この論文を読んだ日本の専門家はウェブサイトの中で、次のように推測している。
「女性だけが仕事時間が長いと慢性疾患のリスクが高まるのは、外で長時間働いた上、帰宅後もゆっくり休めず、家事をしなければならないからだ。また、男女の間で、仕事に対する満足感に違いがある可能性も考えられる」
もう1つ、女性にとってトホホな研究がある。2012年8月、カナダ・トロントの「仕事と医療研究所」のチームが、「仕事のストレスと糖尿病の発症リスク」に関する研究を医学誌「Occupational Medicine」に発表した。
糖尿病の既往歴のない男女7443人を9年間にわたって追跡すると、男性の10.3%、女性の6.9%が糖尿病を発症した。対象者には、仕事に関する満足度やストレスをアンケート調査していた。そこで、「仕事がうまくいっている人」と「うまくいっていない人」に分けて糖尿病の発症率を比較すると、女性では「うまくいっていない人」の発症リスクが「うまくいっている人」の2倍以上に増えた。しかし、男性では両者の間に差がなかった。女性では、仕事のストレスが糖尿病の危険因子となるのに、男性では関係なかったのだ。