【あさイチ】(NHK)2016年6月20日放送
「女のホケン室 "おりもの"の悩み」
夏は蒸れる、何だか臭う気がする...。女性は常日頃「おりもの」に悩まされている。しかし「生理」については女性同士で話せても、おりものの話題は何となく避けてしまう人が多いのが実情だ。
自分が異常なのかどうかわからない、でも人には話しづらい。そんなおりものについて、番組で徹底的に話し合った。
中まで洗うのはNG
そもそもおりものとは、子宮や膣(ちつ)などから体外に出てくる液体の総称を指す。女性ならば毎日出てくるものだ。
デリケートゾーンを清潔に保つことに加え、子宮の入り口には受精の手助けをする独特の成分を持ったおりものがある。これがないと妊娠できないほどの、かなり重要な役割を果たしている。
そんなおりものについて、多くの女性が気にしているのが「臭い」だ。
スタジオには、おりものシートを開発する際に用いられる、一般的な臭いをサンプルとした「擬似おりもの臭」を用意。
有働由美子アナウンサー「粉チーズを暖かい部屋にずっと置いておいたみたいな臭いが...」
これは強く臭うと気になってしまう。臭いを抑えるにはどうしたらいいのか。
産婦人科医の中田真木先生いわく、「ノーパン」が対策になるという。
中田先生「帰宅後や寝る時は、パンツを外して通気をよくしてあげると微生物の発酵が少しおさまるので、臭いが和らぐ。おりものシートなどをあててフタをした状態は臭いを強くしてしまう」
清潔に保つのも重要だが、体の洗い方にもコツがある。
皮膚科医・吉木伸子先生「おりものが汚いと思って強く洗いすぎる人が圧倒的に多いが、デリケートゾーンは顔よりも皮ふが薄い。顔を泡でそっと洗うように、同じ感覚で陰部も洗うように。アルカリ性の石けんで陰部を守っている乳酸菌が死んでしまうこともあるので、気になる人は弱酸性を。陰部専用の洗浄剤もある。皮脂を洗い流すために軽く表面を洗うのはよいが、中の方は洗わないように。中から出てくるおりものが陰部を弱酸性に保つことで雑菌の繁殖をおさえ、清潔に保ってくれている。おりものを洗い流してはいけないんです」
脱毛すると臭いが和らぐ噂もあるが...
温水洗浄便座には「ビデ」という機能があるが、これを使う場合、水圧は強くない方がいい。
中田先生「水をかけているだけなので、落としたい汚れは落ちていない。経血を落とす、肛門周囲を洗うのには効果があるが、粘膜のあたりは唇と同じなので、強い水量を当てて1日何回も洗っていいものではない」
トイレのたびによく拭くことも大切だ。
中田先生「ヒダや膣のくぼみに、排尿した時に尿の成分が混じり込んでいく。特に年齢が上がって周りのヒダが垂れてくると、排尿した一部がどうしても中に入るようになる。それを1日何回も残らず拭き取る」
拭き方は、前後にこするのではなく、水分を吸い取るように叩いたり、奥まった部分へ分け入るようにおさえるのがよい。拭いた部分に紙が残らないように注意し、水分がない状態になるまで拭くのがポイントだ。
陰部の脱毛をすると臭いが和らぐという噂もあるが...。
吉木先生「おりものが周りの皮脂などに混じって臭う場合はそうしたケースもあるが、おりものそのものに臭いが付いていたら脱毛しても効果はない。毛がないと皮ふが直接下着やおりものシートに触れてしまい、摩擦で痛みやかゆみが出てくる可能性もある。毛は保護するためにあるので、脱毛にはデメリットもある」
かゆみが出たら早めに医師の診察を
量が多いと感じていても、どこまでが適切な範囲でどこからが異常なのかがわかりにくいのも悩みの一つだ。特に年齢を重ねている場合は、尿もれと見分けるのも難しい。
中田先生「タンポンを膣に入れておりものシートやパッドを当てて体を動かしてみる。タンポンは乾いているのにシートが湿っていると尿もれ、タンポンは濡れるがシートには漏れていないならおりものであると考えられる」
排卵や生理がある女性のおりものの周期は、排卵の手前で量が増え、人によってはピンク色っぽくなったり、一筋の血が混じったりする。生理が始まる前には臭いが気になる時がある。
周期性があれば問題ないと考えられるが、ずっと量が多かったり、明らかに臭いや色がおかしい場合は、何らかの病気である可能性も。10日から2週間様子を見ておさまらなければ、婦人科にかかるとよい。
中田先生「子宮体がんは異常なおりものがある段階で受診すれば非常に治療成績がいいので、遅れず察知することが重要」
デリケートゾーンの痛みやかゆみが気になる人も少なくない。
吉木先生「かゆくなり始めたら、かきむしる前に婦人科や皮ふ科を受診するとよい。膣の中に異常がない場合は皮ふ科の扱いになる。毛が生えている部分がかゆい場合、脂漏性皮ふ炎が多い」
婦人科の病気で考えられるのは、「細菌性膣症」「トリコモナス膣炎」「カンジダ膣炎」だ。
細菌性膣症は、特定の菌が膣の中で増えて生ぐさい臭いを発する病気で、人によってはかゆみが生じる。トリコモナス膣炎とカンジダ膣炎はほとんどの人が刺激症状が強烈に出るもので、かゆみや痛みがあらわれる。トリコモナス膣炎は臭いが強くなり、カンジダ膣炎はカスカスしたものが出てくる。
カンジダ膣炎はカビが原因となるので、下着を乾燥機で乾かす、弱いアイロンをかける、紫外線を当てて干すなど、熱を当てて乾かすのが効果的な対策だ。下着だけでなく、家の中のカビを減らすことが、予防につながる。
下着に付いたおりものの汚れがなかなか落ちないのも悩みの種だが、洗面器いっぱいの水に「セスキ炭酸ソーダ」を小さじ1杯入れ、下着を入れて3時間つけ置きし、その後洗濯機で洗えば、その日のうちの汚れは落とすことができる。