第24回参院選が2016年6月22日に公示され、18日間の選挙戦がスタートした。新聞各紙は与野党党首の「第1声」を夕刊で大きく伝えた。安倍晋三首相の写真を最も大きく掲載した社もあれば、安倍首相と民主党の岡田克也代表の写真を同じサイズにする社もあるなど、価値判断はさまざまだ。
ここ1年は、メディアの萎縮や政権への「忖度(そんたく)」が指摘されることも多かった。13年の参院選から紙面がどう変化したかについても、合わせて検証した。
読売、日経は見出しもほとんど変化なし
新聞の紙面では写真の配置などに「何を重要視するか」の価値判断が反映されるとされる。例えば13年の参院選が公示された直後、7月4日の朝日新聞の夕刊紙面では、1面に安倍首相の写真を最も大きく掲載し、他の9党首の写真を安倍首相よりも小さくして同じサイズで並べた。一方で16年6月22日夕刊の1面は、9党首の写真を縦方向に掲載。横幅は9人とも同じだが、縦幅は安倍首相、岡田氏、志位氏と松井氏の順に長い。16年は13年に比べて「1強多弱」だという印象が弱まるレイアウトだと言えそうだ。
読売新聞は13年、16年とも自民、民主(民進)のトップの写真を同じサイズで掲げ、見出しも
「アベノミクス問う」(13年)
「アベノミクス 是か否か」(16年)
と、ほぼ同じ紙面構成だ。日経も読売に近く、13年、16年ともに自民・民主(民進)の2人を並列。いずれも縦のサイズは同じだが、横のサイズは若干安倍首相の方が大きい。読売同様、見出しも
「アベノミクスに審判」(13年)
「アベノミクス再審判」(16年)
と、ほぼ同様だ。
在京紙で最も変化が目立ったのが毎日新聞だ。13年の紙面では安倍首相ら5人の写真を同じサイズで並べ、その下に共産党の志位和夫委員長ら4人の写真を一回り小さいサイズで載せた。16年は安倍首相の写真が最も大きく、岡田氏、志位氏、山口氏、松井氏の4人の写真を次に大きなサイズで載せた。朝日とは逆に、16年の紙面の方が「1強多弱」の印象を強く与えそうだ。