日本語が分かる従業員は「ほとんどいない」
一方で、従業員のうち13人が、会社が所有するアパートの1室に同居していたが、16年2月に火事が起きて、住むことができなくなった。それ以降、住む場所のない従業員は、店舗の中で寝泊まりしながら、自分たちで営業も続けている。
これに対し、経営者からは6月8日に「ただちに店舗の営業を停止しなさい」「20日まで店舗から退去しなさい」などと通告書が届いた、という。先の従業員代表は
「店舗を追い出されたら、彼らは皆ホームレスになるしかありません。その前に、従業員が置かれている窮状を伝えたかった。だからポスターを作ったのです」
と語る。また、この通告書には、「(従業員は)売り上げを直ちに会社に引き渡しなさい」とも記されてもいるという。しかし、給与の未払い分を請求してから経営者とは音信不通になり、「売り上げを払いたくても払えない状況になっている」と代表者は説明する。売上金は自分たちで管理し、そのお金で食材などの材料を仕入れているという。
長い間こうした厳しい労働環境に置かれていたにも関わらず、従業員が行動を起こさなかった理由については、
「そもそも、日本語が分かる従業員がほとんどいません。社長が何を言っているかさえ、一部の従業員しか分からない状況でした。さらに、就労ビザの問題もあって、彼らは会社をクビになるわけにはいきませんでした」
と話す。