明日は「世界的な株安」? 英の「EU離脱・残留」投票にハラハラ

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英国の現地法人、65%が「EU離脱なら、マイナス影響」

   JETROは2016年6月14日、ロンドンで英国のEU離脱をテーマにした日系企業向けセミナーを実施。そこに参加した企業(54社)のうち、英国のEU離脱で「マイナスの影響を受ける」と回答した企業は64.8%にのぼった。なかには、ドイツやオランダ、アイルランドへの拠点の移転を検討している、という声もあったという。

   英国の現地法人が小型車の「AURIS」や中型車「AVENSIS」を生産し、その多くをEU向けに輸出しているトヨタ自動車は、「(英国がEU離脱となれば)影響がないわけではありませんが、現時点で具体的な備えはありません」と話す。為替についても、「動向を見たうえでの判断になります」という。

   とはいえ、日本経済新聞電子版(6月22日付)は、トヨタが英国の現地法人の従業員に宛てて、EU離脱の場合はビジネス上の大きなリスクがあるとする内容の手紙を送っていたことがわかった、と報じた。賛成・反対のどちらに投票するかは従業員の意思を尊重するとしているというが、企業として「離脱は避けたい」との思いがにじむ。おそらく、そう思っている企業は少なくないだろう。

   一方、為替相場の動向を注視しているメガバンクや証券会社などの金融機関は、市場の混乱に備えて、金融庁が英ポンドやユーロ、米ドルの調達状況を確認したこともあり、手元資金を積み増すなど、手当したようだ。

   仮に、英国のEU離脱で現地経済の先行き懸念が強まると、投資家らがポンド建ての預金を引き出したり、ドルや円などの他の通貨に換金したりする動きが加速しかねない。銀行間取引でもポンドやドルを融通するのに慎重になるため、手元の外貨が足りなくなる恐れがある。それにより、日系企業向けの融資にも影響が及ぶ可能性がないとはいえない。

   三菱東京UFJ銀行は「具体的なお話はできません」としたうえで、一般的な動きとしてはあってもおかしくないとしている。

   外国為替証拠金(FX)取引に投資する個人投資家を抱えるFX業者も、投票結果に備える。英国のEU離脱によるポンドの急落で、多額の損失を被る個人投資家が急増する事態を防ぐため、円とドルに対するポンドの取引額の上限を引き下げたり、ポンド関連の取引を一時中止したり、取引を制限する動きが広がっている。

   もし「EU離脱」となれば、円高は必至。一気に1ドル100円割れを起こす可能性があるばかりか、「英国株を中心に、世界的な株安が観測されそうだ」(第一生命経済研究所の藤代宏一氏)という。

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