宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2016年6月22日、2010年に小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の表面に、約45億年前に誕生したイトカワの母天体の痕跡を見つけたと発表した。
イトカワは地球と火星の間を回る直径500メートル程度の小惑星。約45億年前にできた直径20キロ程度の母天体が約13億年前に他天体との衝突で破壊され、その破片が集まって現在の小惑星になったと考えられている。
今回、研究チームは高性能な顕微鏡などを使って、26個の微粒子の表面や内部を観察した。その結果、これまで1種類しかないと考えられていた表面模様のパターンが、少なくとも4種類あることが分かったという。このうちの1つは階段状の模様で、母体となった天体の内部が800度以上の高温だった約45億年前につくられた可能性が高いという。
研究チームは、微粒子表面を観察することで小惑星の歴史をたどるという新たな分析手法の確立につながるとしている。