北海道釧路市で4人を無差別に刺した松橋伸幸容疑者(33)は、「人生を終わりにしたかった」「死刑になってもいい」と道警の調べに供述している。通り魔事件が起こるたびに、同じような供述が繰り返されるのはなぜなのか。
松橋容疑者は逃げる女性(68)を追いかけて捕まえると、馬乗りになって上から包丁を振り下ろした。
表情を変えずに、4人を次々に包丁で刺す
今回の凶行は、防犯カメラなどに捉えられており、テレビでその映像も流された。
松橋容疑者は2016年6月21日15時過ぎ、イオンモール釧路昭和店の中央通路で前出の女性を刺すと、通路を走ってほかの買い物客らを次々に襲った。この日は、特売日で店内には多くの人がおり、パニックになった。
無表情で客らを切り付けながら、いったん立ち止まると、店員とみられる人が洋服のかかったハンガーラックを松橋容疑者にぶつける。そこに警備員が駆け寄って松橋容疑者を取り押さえ、客らしき男性が包丁を蹴り飛ばして犯行を食い止めていた。この事件で、前出の女性が胸を深く刺されて死亡し、40~70代の客や店員ら3人が首などを切られて重軽傷を負った。
客が撮った写真を見ると、松橋容疑者は、ふっくらした体型で、サングラスをかけていた。そのまま警察官に引き渡され、釧路署などが殺人と殺人未遂の疑いで調べている。
報道によると、松橋容疑者は、阿寒町内で両親らと一緒に住み、新聞配達のアルバイトをしていた。この日は、朝刊の配達はしたものの、夕刊のときには無断欠勤し、母親らが行方を捜していた。
店の同僚や近所の人の話によると、普段は物静かで人に優しい人柄だったという。
そんな松橋容疑者がなぜ無差別殺傷に走ってしまったのか。
警察に語った「厭世的になり、殺人が一番いい」
北海道警釧路方面本部にJ-CASTニュースが取材すると、松橋伸幸容疑者は、統合失調症と診断され、事件前まで通院しており、このことに悩んでいたと供述していると明かした。それで厭世的になってしまい、殺人が一番いいと考えるようになったと取り調べに語っているという。
「死刑になりたい」といった動機は、過去の無差別事件でも供述されている。2008年に起きた秋葉原通り魔事件の加藤智大死刑囚、その前に起きた土浦連続殺傷事件の犯人(死刑執行済み)も、同じような動機を口にしており、いずれも松橋容疑者同世代だ。
松橋容疑者は、これらの事件に何か感化されたかについて、道警では、捜査中であり何とも言えないとしている。
勤め先の新聞販売店の店長も、「趣味の釣りのことはよく話していましたが、悩みは一度も聞いたことがないです」とJ-CASTニュースの取材に対して話した。また、松橋容疑者の持病については、聞いていなかったという。
松橋容疑者の犯行は計画的であったことも分かってきている。犯行の2時間前に釧路市内のホームセンターで包丁を買い、イオンモールでは中央通路をUターンして襲う相手を見定めていたらしい。
ネット上では、「動機も意識もはっきりして殺意もあるじゃん」「自らより弱い者のみを狙うやり口は本当に腹立たしい」「何だろうが結果には責任を課すべき」といった意見の書き込みが相次いでいる。