ソフトバンクで何が起きているのか 孫社長がインド人副社長をお払い箱にした理由 

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   ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長(48)が、2016年6月22日の任期満了に伴い退任する。

   アローラ氏は、孫正義社長(58)の「後継者」候補として、また入社した初年度(15年3月期)に移籍金を含め165億5600万円にのぼる巨額の役員報酬を得たことで注目されていた。孫社長の「お気に入り」とみられていただけに、突然の退任にインターネットや周囲からは驚きの声があがっている。

  • ソフトバンクの第36回定時株主総会(画像は、ソフトバンクのホームページから)
    ソフトバンクの第36回定時株主総会(画像は、ソフトバンクのホームページから)
  • ソフトバンクの第36回定時株主総会(画像は、ソフトバンクのホームページから)

株主総会前日夜に取締役選任を取り下げ

   ソフトバンクグループは、定時株主総会を翌日に控えた2016年6月21日夜、ニケシュ・アローラ副社長が退任すると発表。極めて異例のタイミングで、第2号議案の「取締役の選任」からアローラ氏を取り下げた。

   アローラ氏は7月1日付で顧問に就任。同社は6月22日、株主総会後の取締役会で、副社長に宮内謙取締役の就任を決めた。

   アローラ氏の退任は、孫正義社長と、その後継と目されていたアローラ氏のあいだで、社長就任の時機に「ずれ」が生じたことにあるとみられている。

   孫社長は2017年8月で60歳。かねて60代で後継者に事業を継承すると公言していたが、6月22日の株主総会では「60代というと、60から69までありますが、60歳の誕生日を迎えたらバトンタッチするつもりでした」とあらためて話した。

   しかし、「俺は本当にこのまま引退していいのか......。もうちょっとやっていきたいという欲望が出ました」と、「変心」した心境を吐露。スプリントの再建や「真の情報革命」に取り組むには「少なくとも、あと5年から10年は社長として頑張りたい。2、3年で降りるつもりはありません」とも語った。最終的な引き際については「69歳までには(社長を)譲りたい」「このまま老害になることだけは避けたい」などと話した。

   一方、孫社長の「続投宣言」で、アローラ氏のトップ昇格は消えた。

   孫社長は、「それ(アローラ氏の社長就任)を確約したわけではありません」としたうえで、「自分のわがままで申し訳ない」とアローラ氏への思いを語ったほか、「ニケシュは被害者」とも述べ、アローラ氏の高額報酬への批判については「グーグルにいれば、いまのソフトバンクぐらいはもらっていたはず」と擁護した。

   アローラ氏はインド出身。米グーグルを経て、2014年9月に後継者含みでソフトバンクに入社。15年6月に副社長に就いた。初年度に165億5600万円、16年3月期も子会社分を含め80億4200万円と、高額の役員報酬を得ていることが批判にさらされ、2016年1月にはソフトバンクが米国の法律事務所から、アローラ氏の解任を求める書簡を受け取っていた。

   ソフトバンクは、この解任要請を「評価に値しない」と、内部調査の結果を6月20日に発表。アローラ氏に対して、孫社長が全幅の信頼を置いていることを強調したばかりだっただけに、突然の退任になおさら衝撃が走ったのかもしれない。

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